TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜17:59~)。4月8日(火)の放送では、施行から1週間が経過した「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」の現状について取り上げました。

◆カスハラに対する事業者のリアルな声
客が従業員に理不尽な要求をする“カスタマーハラスメント(カスハラ)”を防ぐため、東京都は全国に先駆け「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(カスハラ防止条例)」を4月1日に施行。正当な理由がない過度な要求や暴言がカスハラにあたると規定し、事業者や客に対してカスハラを防ぐ対応をとることを責務と定めています。
条例の施行から1週間、現場はどのようになっているのか。この日は長年カスハラの被害に悩み、独自の対策を行っている江東区のお弁当店「キッチンDIVE亀戸店」と中継をつなぎ、渡邉店長に話を伺いました。
「キッチンDIVE亀戸店」はお店の角に防犯カメラを設置し、店内の様子をYouTubeでライブ配信していますが、そうしたなかでも4年前にある事件が。深夜に酔って来店した2人組が自分で中身を出してしまったお弁当を返品しようとしたため店側が断ったところ、お金を投げつけ、店員を罵倒するといったことがありました。
渡邉店長によると、数年前に比べると最近はカスハラの被害が確実に減ったとか。しかし、カスハラ防止条例の施行に関しては「正直なところ、1週間で(実感を)感じているかというと、あまり感じられない」と話しつつ、「カスハラという言葉が報道などで広がっていくことで数年前に比べたら認知度も上がり、それが抑止力になっている感がある」とも。
カスハラ被害が減少した理由はもうひとつあるそうで、それは“キャッシュレス決済”です。「キャッシュレス決済を導入したことでセルフレジになり、(店員が)直接お客様とやりとりすることがなくなった。(以前は)お客様と話す時間が(お客様の)イライラのぶつけどころなどにつながっていたが、それがなくなったことでカスハラも少なくなった」と渡邉店長。
◆かつて被害に遭った弁当店の声に識者の反応は?
また、キャスターの堀潤からカスハラ防止条例施行の実感がない理由を尋ねられると「条例自体に罰則がなく、お店側がリアクションをしないと罪にも問えないので、そこがお店としても難しいところだと感じる」と答えていました。
渡邉店長の話を聞き、キャスターの豊崎由里絵は「お店側にとっては(お客さんと)対面で接して常連さんを作って売上につながっていたと思うが、この条例を含め、そこを今は完全にシステム化していきましょうという流れ。(お客さんと)距離をとりましょうみたいになっていて、そのあたりって売上につながるのか心配」と店舗運営を案じます。
また、モデルでタレントの藤井サチさんも秩序の維持と人のぬくもりの希薄化のジレンマについて「本当に悲しい」と嘆きながらも「カスハラしている人は自分がカスハラをしていると気づかないときがあると思うので、ちゃんと制度化して抑止をしていかないと」と持論を述べます。
◆都内の各自治体でも独自のカスハラ対策
なお、都内の各自治体でもカスハラ対策は進められています。
例えば、港区ではカスハラ防止条例の施行にあわせ区長が全職員にハラスメント防止宣言を行い、全庁一丸となって取り組みを進めると約束しました。そして、目黒区では職員の名札を名字のみ表記し、顔写真の掲載も廃止。この取り組みは他にも多くの自治体で採用されています。
加えて、八王子市は役所の電話に録音機能を備え、カスハラがあった際の対応や未然の防止につなげる考えです。
さらに、カスハラ対策の基本ともいえる対応マニュアルについては、杉並区で警視庁から派遣されている警察官の知見を生かし、より具体的で実効性のあるマニュアルを作成しているそうです。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx