虎ノ門“最新ビル”に老舗書店…再開発のカタチは 事業者「地元との協力が一番」

2025.04.11(金)

10:30

東京・港区の虎ノ門エリアでは大規模な再開発が進んでいます。地域に根差す老舗書店の会長と再開発事業者に、変わりゆく街への思いを聞きました。

東京・港区の虎ノ門エリアでは大規模な再開発が進んでいます。地域に根差す老舗書店の会長と再開発事業者に、変わりゆく街への思いを聞きました。

港区虎ノ門で80年以上経営を続ける1軒の書店「虎ノ門書房」があります。虎ノ門書房の吉岡廣一郎さんは、再開発で多くの店が撤退する中、親の代から続くこの書店を守り続けてきました。吉岡さんは「もう、官庁はすぐ。この辺りはビジネス街ですから、ビジネスマン・官庁の役人が中心の客になっている」と話します。

現在、仮設店舗での営業をしているこの書店は、今後、新たなビルの中で営業を始める計画が進んでいます。その場所となるのが、虎ノ門エリアに2027年10月に完成する予定の複合施設「トラノゲート」です。

官公庁が近い虎ノ門の立地を生かし官民連携の拠点を作るほか、NTTと連携してビル全体の省エネ性能を高める日本で初めてというネットワークシステムを導入し、最新技術も取り入れた次世代型のオフィスビルが誕生することになります。また、東京メトロ虎ノ門駅と直結し、虎ノ門ヒルズ駅ともつながる地下通路も整備する予定で、エリアの回遊性の向上にもつながる計画となっています。

吉岡さんが経営する書店はこの最新ビルの1階に店舗を構える予定です。吉岡さんは「昔の虎ノ門、琴平町(現在の虎ノ門1丁目)の町が消えてなくなるのではなく、再開発して便利な高層ビルができてそこにもう一回戻るということ。店舗も住宅もみんな戻るという形」と話します。

事業者の中央日本土地建物は、再開発を進めるにはこうした地元との協力が必要不可欠と話します。中央日土地グループの三宅潔社長は「地権者・地元との協力が一番のベース」とした上で「人との関係を大事にしながら再開発していくのはデベロッパーとして当然。その人たちが反発するところで(再開発を)やるのはあり得ない。それがプロジェクトの一番大事なところ」と強調します。

最新技術と街の伝統が合わせて計画が進む「トラノゲート」に期待を寄せつつ、吉岡さんは引き続きこの土地に愛される書店として経営を続けたいと話します。吉岡さんは「書店が減っているという話がニュースなどで出るが、私としては虎ノ門の地域でいつまでも親しまれる書店として、お客さんにはずっと来続けてほしいと願っている」と夢を語ってくれました。

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