極右が台頭したドイツ総選挙をドイツ人ジャーナリストが分析「社会が真っ二つに分断している」

2025.04.08(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、総選挙を終えたドイツの政治状況に着目しました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、総選挙を終えたドイツの政治状況に着目しました。

◆極右政党が第2党に…その影響は?

2月23日にドイツ総選挙が行われ、得票率28.6%で中道右派の「キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)」が第1党に。与党「社会民主党(SPD)」は第3党に後退し、第2党には極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が得票率20.8%で躍進。そして、第4党に「緑の党」、第5党に「左派党」が続いています。

この結果に対し、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「投票前の世論調査でも同様のパーセンテージだったので、結局その通りになった。ただ、(AfDの)政党の人に聞くと、もっと伸びると思っていたらしい」と話し、さらには今回の選挙のポイントとして「社会が分断、真っ二つに二極化し、分断している」と分析。

事実、今回の選挙の政党得票数を地域別に見ると、西側はCDU/CSUを支持し、東側はAfDと完全に分かれています。

また、極右政党躍進の要因のひとつにマライさんの夫・神島大輔さんは「ドイツの有権者の関心が、移民・難民ストレス問題にシフトしているのはものすごく重要」と国民の関心の変化を指摘。去年、外国出身の容疑者が車で群衆に突っ込んだ襲撃事件があったことや、経済的なかげりがあるなか、税金を難民支援に使っていることへの不満が国民の間で蓄積しているそうです。

こうした状況に、マライさんは「第1党になったCDU/CSUが今後AfDと絶対に組まないと約束できるのか」と不安を吐露。加えて、「第1党(CDU/CSU)が第2党(AfD)と組みたくないと言っていて、そうすると第3党(SPD)と組むしかないが、党の方向性が違ってきていて擦り合わせに時間がかかっている」とも。

なお、CDU/CSUは過去に連立経験のあるSPDとの連立に向け協議を開始しています。これが実現すれば政権運営が安定し、ドイツの欧州での存在感が強まると言われていますが、マライさんにはまた別の懸念もあるそう。「反難民、反EUのAfDよりも第1党のCDU/CSUが国民を満足させないと、次の選挙で第2党に流れてしまうので、ある意味、より厳しい路線にいかないといけない。それが本当にドイツにとっていいことなのか心配」と案じます。

キャスターの豊崎由里絵からは「“右派=悪”ではないと思うが、CDU/CSUとAfDが結びつくと、具体的にどんな悪影響があるのか?」との疑問が。

これにマライさんは「AfDは移民排斥やNATO・EUからの離脱とかを目指しているので、それがドイツにとって本当にプラスなのか」と答えつつ、「(ドイツは)貿易で生きている国なので(NATOやEUからの離脱は)マイナスだという試算が出ているが、それでも『離脱したい』と言っていて不安」と素直な思いを明かします。

総じて、キャスターの堀潤は「いわゆる協調主義から大きく転換することは、世界にとって安定なのか、不安定なのか。どちらなのか今、突きつけられている」とまとめる傍ら、「ちなみにドイツが変わってきたなと思うのは、先日、核兵器禁止条約のオブザーバー参加をしなかった。徐々に政治のスタンスが変わってきた。引き続き、ちゃんと見ていきたい」と今後の動向に関心を示していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 17:59~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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