TOKYO MX(地上波9ch)朝の情報生番組「おはリナ!」(毎週月~金曜7:00~)。「TOKYO LENS」のコーナーでは、TOKYO MXの曹蒙記者が外国人記者の視点から、「外国人への災害対応」を取材しました。

◆災害時の外国人の不安…「最大の問題となるのは言語の壁」
都内を訪れる外国人観光客は過去最多を記録し、今年も伸び続けていますが、地震が起きた時、外国人への対応は東京都の課題となっています。どんな取り組みが行われているのか取材しました。
いつ起こるかわからない巨大地震などの大規模災害。日本を観光で訪れた外国人は、災害時に対し、どのような不安を感じているのでしょうか。
その質問に、オランダから来た女性は「情報が読めないことね。多くの情報が日本語で書かれていて、ヨーロッパとは違う記号が使われているから、理解しづらいことがある」と答えます。
ドイツから来た男性も「最大の問題となるのは言語の壁だと思う。英語や自分の母国語で話せる人が必ずしも近くにいるとは限らない」と回答。
多くの外国人が口にしたのは、言語の壁でした。
それでは現在、被害発生時に外国人の助けとなる、避難誘導の標識や地元住民のサポートはどうなっているのでしょうか。
多くの観光客が訪れる台東区浅草では、多言語対応の電子掲示板で災害時の避難方法を見ることができます。
また、100メートルごとに設置されている消火器の上部には、災害時の避難場所がいくつもの言語で表記されています。
そして毎年、地元の外国人にも参加してもらい、災害対応訓練を実施。街全体で災害時に外国人観光客を誘導できるよう備えています。
◆都内在住の外国人に向けて、防災に関心を持ってもらう取り組みも
一方、都内で増加しているのは外国人観光客だけではありません。都内に住む外国人の数も65万人を超え、過去最多となっています。
そんな都内に住む外国人に向けた訓練が11月に立川市で行われました。東京都が実施したのは、外国人居住者を対象にした防災体験ツアーです。
このツアーには約40人が参加し、地震が発生した際の避難方法や消火器の使い方を実際に体験して学びました。
フィリピン出身の参加者は、「フィリピンではこういう災害対策の訓練はあまりないから、今日は多くのことを学びました。準備の重要性を理解できたので、今ではどうすればいいかが明確になって安心感があります」と感想を語ります。
カナダ出身の夫婦も経験不足による不安を口にします。「私たちは1970年代に建てられた古い建物に住んでいるから少し心配」、「カナダでは地震がほとんどないから経験があまりないの。大きな地震を経験する前に、こういう場で体験しておこうと思って。安全な環境で地震を体験できるだけでなく、消火器の使い方も知れてよかったわ」と話していました。
ツアーを企画した東京都の担当者は、「ご家族や知人の方たちと、自分の身は自分で守るという意識を広げて共有していただきたい」と訴えます。一方で、防災に関する情報、周知の面での課題も挙げました。「災害のほとんどない国からやって来た方たちに、防災に関心を持っていただいたり、また、そもそも防災に関心を持たない方たちに、どうしたら防災意識を持っていただき、その大切さを伝えることができるのかというのがとても課題だと感じています」と説明しました。
東京都は多文化行政をサポートするサイト「TIPS」で、防災や避難方法について多言語で提供するなどしていて、情報発信をより強化していきたいとしています。
外国人に対して、防災の取り組みや災害時の避難方法をより広く周知し、取り残しのない情報発信をすることが求められます。
<番組概要>
番組名:おはリナ!
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:山本里菜、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
番組X(旧Twitter):@oha_rina
番組Instagram:@oharina_mx