停戦が実現するも…パレスチナ・ガザの現状を現地で活動するNGOスタッフに直撃

2025.03.25(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、パレスチナ・ガザ市民の今とこれからについて取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、パレスチナ・ガザ市民の今とこれからについて取り上げました。

◆停戦というのは終わりではない…

今年1月、イスラエルとイスラム組織「ハマス」の間で停戦が合意されましたが、戦いの舞台となっていたパレスチナのガザ地区は今どうなっているのか。今回、キャスターの堀潤は現地で活動しているJVC(日本国際ボランティアセンター)の大澤みずほさんに話を伺いました。

まず大澤さんは「本当に待ち侘びた停戦でした」と喜びを語る傍ら、「停戦というのは終わりではないというところで、これから復興していくことが本当に大変なこと」と今後を見据えます。

JVCの現地スタッフも今回の停戦を受け、喜びの声とともに複雑な心境を語っていたそうで「亡くなった方々がたくさん、5万人近くいるなかで、自分が生き残ったことが複雑な気持ちであると言っていた」と大澤さん。

さらに、4歳の子どもがいる友人からは、破壊された家を子どもに見せるのが怖いという声も。

そして、ガザの人々からは生活を立て直すにも停戦が破られるのではないかという不安を抱え、先のことを考えられないという意見もあるそうです。

また、停戦以降はヨルダン川西岸地区への攻撃が激化しており、この地区に在住する男性の声を大澤さんが紹介。その訴えとは、「今こそ日本政府はパレスチナ人の自由獲得のため、人々の追放計画を阻止するために介入すべきではないでしょうか。それは1人の命を救うことでもあり、人道を守ることでもあります。今、行動を起こすとき」というもの。

改めて、大澤さんは「私たちが一番伝えたいのは、今は空爆されて瓦礫の山になってしまっているが、そこにはもともと人の生活があったし、人々の笑顔があったことを忘れないでいただきたいといつも思っています。日本からでもいろいろな形で支援することができるので、ぜひ一緒に支援を続けていただけたら」と望んでいました。

◆停戦するも依然として続く“脅し”と“威嚇”

キャスターの堀潤はガザをめぐる問題に関し、「パレスチナとイスラエルの話をすると必ず『テロリストを支援するのか』といった話が出てくるが、現地では非戦闘員、女性や子どもがたくさん犠牲になっている。どんな政治的イデオロギーであれ、どんなバックグラウンドを持っていても“市民を殺すな”ということは普遍的な価値。その上でこのニュースを観ていただきたい。市民目線で(ガザの)人々をサポートする取り組みを続けてきたNGOの皆さんをぜひ支えてほしい」と願います。

また、「現場では今、脅しと威嚇が続いている」とも。というのも、停戦には合意したもののイスラエルのネタニヤフ首相は人質解放の期限を守らなければ激しい戦闘を再開するとし、米トランプ大統領も指定の日時までに人質を全員解放しなければ地獄が始まるなどと警告。これに対しハマス側の対応が注目されていましたが、堀曰く、ハマスは定められた期限内で人質・拘束者の交換を行うと表明。さらに、トランプ大統領はアメリカがガザを管理する、住民を移住させると主張しています。

こうした状況に、関西大学特任教授の深澤真紀さんは「そもそもアメリカはもちろん西側諸国、日本もこの事態を止めることができなかった。決してイスラエルを批判してこなかった。ロシアに対する態度とは全く違ったことを改めて思うべき」と指摘しつつ、「どう考えてもトランプ大統領が言っていることは常軌を逸している。パレスチナの人たちに何が必要か考えることが何より大事」と声を大にします。

一方、哲学者の萱野稔人さんは「ハマスをガザ地区からいなくさせることがイスラエルの当面の目標だと思うが、ガザの人たちにとってハマスを支持せざるを得ない側面もある。イスラエルが(ハマスの)掃討作戦をし、軍事的にうまくいったとしても結局ガザの人たちがハマスのような軍事組織を支持するしかない状況にまた追い込まれるのであれば同じ話になる。今のままでは問題解決しないことを分からないといけない」と持論を述べます。

株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは、大澤さんの「停戦が終わりではない」という言葉が非常に印象的だったとした上で、「まさにその通りで、瓦礫の撤去に15年ぐらいかかると言われ、戦争が始まる前の経済状態に戻るまでに300年、350年以上かかるという試算もあるので、そこに住んでいる人たちからすると、停戦をしたところで心理的には戦争は継続している。なので、その辺りも含めとにかく停戦を終結に結びつけたい」と切望します。

キャスターの田中陽南は「停戦は命を守るという観点では本当に必要で、いいことだと思うが、現場の思いや市民たちの思いを誰だったら吸い上げられるのかなっていう懸念が残る」と案じます。

最後に堀は「先進諸外国の一国を担う日本としての責任を改めて果たしていければ」と率直な思いを語っていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 18:00~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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