認知症患者の生活は…物忘れ以外のさまざまな症状も 介護士「大切なのは“否定をしないこと”」

2025.03.20(木)

10:10

国際機関のOECD(経済協力開発機構)が調べた44カ国のデータによると、日本は1000人当たりの認知症患者数が23.3人(2017年)で、世界の国の中でも認知症患者が最も多いとされています。さらに2037年には日本の認知症患者数は1000人当たり38.4人に増え、他の国との差がさらに拡大すると予測されています。

国際機関のOECD(経済協力開発機構)が調べた44カ国のデータによると、日本は1000人当たりの認知症患者数が23.3人(2017年)で、世界の国の中でも認知症患者が最も多いとされています。さらに2037年には日本の認知症患者数は1000人当たり38.4人に増え、他の国との差がさらに拡大すると予測されています。

東京・板橋区にある認知症の人たちが暮らす介護施設で取材に応じてくれたのは、70代が終わる頃から物忘れの症状がよくみられるようになり、5年前にこの施設に入居した沼田さん(97)です。

沼田さんは介護士のサポートを受けながら、認知症になる前と同様に料理や食器洗いをするなど、いわゆる“普通の生活”を送っています。この日も介護士が用意した鍋にみそを入れ、みそ汁を作っていました。

また、料理の盛り付けも手伝っていましたが、沼田さんは「見ただけじゃ、どの器の中身が少ないか分からない」と話しました。

介護士によりますと、料理を均等に分けるといった計画や段取りを立てて行動することが難しい認知症の症状の一つ「実行機能障害」だということです。

また、沼田さんには場所や時間などが分からなくなる「見当識障害」の症状も見られます。

介護士が「今はどの季節か分かりますか」と聞くと、沼田さんは「今は…春はもう終わりで、もう夏、初夏が来るのかな」と答え、介護士は「そうですね」と相づちを打ちました。取材したのは3月2日のことでしたが介護士は否定せず優しく沼田さんの話を聞き、沼田さんも安心した様子で笑顔で会話を続けていました。

認知症患者と接する場合“否定をせず”、その人の思いと言葉を受け入れてあげることが大事だと介護士は話します。

施設の介護士は「認知症の人の見えている世界や発する言葉を否定しないということが大事だと思う。その上で、気持ちを寄せて共感することで信頼関係が生まれてくるので、そこはぶれてはいけないと考えています」と話していました。

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