認知症患者の視点をVRで体験 患者の気持ちを正しく理解するために

2025.03.20(木)

10:00

東京・八王子市でVR=バーチャルリアリティーを活用して認知症患者の視点を体験できるイベントが開催されました。

東京・八王子市でVR=バーチャルリアリティーを活用して認知症患者の視点を体験できるイベントが開催されました。

VR映像は介護現場で実際に起きた状況を、本人と主治医へのインタビューを基に再現されました。

事業運営者で講師を務めた女性は「物忘れがあるとどんな気持ちなんだろうとか『ここがどこか分からない』とはどんな気持ちなのかということを想像できるかできないかで、認知症患者との関わり方は変わってくると思う」と参加者に呼びかけました。

参加者たちは“実際にはいない人や虫などが見える”「幻視」や、“物の場所をすぐ忘れてしまう”「記憶障害」などを体験しました。そして、記者も“距離感がつかみにくくなる症状”=「視空間失認」を体験してみました。「自動車の座席から道路へと、車を降りるシーン」を想定したVR映像が映し出されましたが、距離感をつかむことが難しい状況を再現した映像はまるでビルの上にいるようで、はるか下の方に道路や車が見えてしまい、車から降りる一歩を踏み出すのが怖い感覚を味わいました。

体験後には認知症患者に対してどう向き合うべきかを考えるグループディスカッションも行われ、参加者は症状についての理解を深めていました。

参加者の中には「みんなが同じように症状を理解するのが難しくても、1人が理解して『それはこういうことだ』と他の人に伝えてもらえれば、本人も安心できるのではないか」と発言し、改めて意識を高めた人もいたようでした。

主催した八王子市・高齢者福祉課の担当者は「認知症への理解を深めることで共生社会に向かって進んでいけるという思いがある。認知症の人への対応、認知症の人への気持ちを周りの人がきちんと理解することで高齢者虐待も防いでいけると考えている」と話しています。

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