およそ10万人が亡くなったとされる東京大空襲から80年の月日がたちました。3月10日、東京・墨田区の東京都慰霊堂では法要が営まれ、秋篠宮ご夫妻や東京都の小池知事、遺族ら合わせておよそ160人が参列しました。

太平洋戦争の末期に当たる1945年3月10日の未明にアメリカ軍による無差別爆撃が行われた東京大空襲では、およそ10万人が亡くなったとされています。法要で小池知事は「いま世界は激動のさなかにある。他国への侵攻や地域紛争、テロ行為などが絶えません。東京都は戦争の惨禍を二度と繰り返さない、繰り返させないことを誓い、平和を希求し実現する意識の高揚を図っている」と述べました。
空襲で叔父を失った遺族代表の内田和江さん(87)は80年たった今でも「悲惨な光景が鮮明に記憶に残っている」として、「空襲の時の光景がどんどん膨らんできて、どうにもならなくなって胸が苦しくなりました。(80年たった今でもつらい記憶が薄れることは)ありません。やけどの痕は薄くなったが、つらい記憶は変わらない」と、その悲しみを語りました。
<次世代に平和継承する式典 海老名香葉子さんの思いは代読>
東京・台東区では、犠牲者を悼み平和を次の世代へ継承していく式典が今年も開かれました。
主催するのは初代林家三平さんの妻でエッセイストの海老名香葉子さんで、空襲で両親と祖母、3人の兄弟の家族6人を亡くした経験をこの式典で長年にわたって語り続けてきました。しかし現在91歳の海老名さんは高齢のため今年はあいさつはせず、平和への思いを林家一門のまる子さんが代読しました。林家まる子さんは「野宿したり雑草を食べたりしたこともありました 戦争で親を亡くした子どもたちは悲惨です。もう決してあの時の私のような子どもをつくらないでほしいと思います」と、海老名さんのメッセージを代読しました。