TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、キャスター・堀潤の現地取材によるシリアレポートをお送りしました。

◆アサド政権崩壊後のシリアの人々の声
昨年12月、約13年に渡り内戦状態が続いていたシリアで独裁的なアサド政権が崩壊。今回はその後の様子をキャスターの堀潤が現地に入りレポートしました。
まずは隣国ヨルダンのシリア国境に近くに行くと、そこにはシリアに帰還する人たちのトラックが。そこでシリア人男性に話を聞いてみると「今では脅威がなくなり、平和と安定が訪れました。最終的には私たちの故郷ですから、解放されたシリアに戻ることができて嬉しい。状況は安定していますが、西側諸国の制裁を解除してもらいたい。それがシリアの経済の復興と再建を助けるでしょう」と言います。
一方、ザータリ難民キャンプで13年間過ごし、難民キャンプの様子を長年伝え続けてきたヤーセルさんは「本当に信じられませんでした。朝、外に出て空気を吸ったとき、それまでとは違う新鮮な空気を感じました。13年ぶりに自由に息ができた気がします」とアサド政権崩壊を喜びつつも、すぐに故郷シリアに帰ることはできないと話します。
シリアには戻りたいものの「時間が必要。傷が癒えるのを待つ必要がある。家を再建し、心を再生しなければなりません」とヤーセルさん。そして、生活基盤を整えるためにも、日本の支援を切望。「私は日本とシリアの関係がもっと深まることを望んでいます。日本の企業がシリアに進出し、経済復興を助けてくれることを期待している。そして、シリアの再建に協力してくれると嬉しい」と望んでいました。
◆日本とシリアの今後を考える
堀は取材を振り返り、「日本の関与の必要性を感じたのは、権威主義的な国で独裁して多くの人道的な犯罪を犯していたリーダーもいなくなって自由になる、(シリアは)今、新しい政権を作ろうと奮闘している最中。中東の国に日本と関係がある民主的な国ができるというのはものすごく大事な局面だと思う」と率直な思いを吐露。
さらには、「他の周辺国は今、状況が厳しい。だからこそ(日本はシリアに)いい形で関わって民主主義の仲間を作るべき。経済の面でいうと、アサド政権下では(過去に話を聞いた)シリア人ジャーナリストのエルカシュ・ナジーブさんは“汚い経済”だと言っていた。『そうではない、正当な、持続可能なクリーンな経済を作りたい』と言っていたので、そこは日本が大きく果たせる支援なんじゃないか」とも。
前明石市長の泉房穂さんは「気をつけないといけないのは、これからどういう政権ができるか」とシリアの今後を案じます。
コラムニストの河崎環さんは「いまだに日本は経済力があると認識してもらえている。求められているのはいいことだと思った。今こそ日本の出番だと言ってもらえるのはありがたい」と感謝する傍ら、「ここで周到に日本が、(シリアとの)関係を築くことができれば、それは本当に願ってもないこと」と言います。
また、「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、「(シリアでは)長らく内戦が続き、独裁国家があったなかで日本はほとんど関与してこなかった。ウクライナなども含め、(日本が)戦争中・戦時中に関与できないのであれば、せめて復興で役割を果たしてくれという声はいろいろな国が共通して日本に対して思っていることだと思う」と主張。
そして、「長期的な戦略というか目線も含め、日本がいかに関与できるか。日本は自民党政権が続いてきたからこそ長期的な外交施策も打てたはず。そうしたビジョンがやはり今まで足りなかったと改めて思う」と語ります。
総じて堀は「日本の外交の特徴として、権威主義的な国家に対してどういう距離感で挑むのかは、制裁までして変えるアメリカほど明確に取らない。状況などを見ながら、それがときに逆に独裁政権を延命させることに繋がっていたんじゃないかという批判もある」と指摘。
さらに「そうしたなか、日本のNGO『国境なき子どもたち』は10年以上ザータリ難民キャンプで支援を続けてきて、ヤーセルさんも共に支援してきた一員だからこそ交流がある。地道に民間レベルで(支援を)続けてきたというのが大きな成果」と語ると、泉さんも大きく頷き、「やはりNGOなどの活動は重要。国家ではなく、そうしたNGOに任せることも大事だと思う」と話していました。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 18:00~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
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