TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、開発が進むラオスの現状を取り上げました。

◆開発が進むラオスで起きている問題とは?
東南アジアのインドシナ半島に位置し、自然が豊富なラオスでは近年、開発が進んでいます。同国についてドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「中国が投資している印象がある」と率直な印象を語ります。
株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんも「中国の資本が入っていることで開発が一気に進んでいると思う。中国の傀儡(かいらい)のような形で開発が進んだ場合、自国の資源はどう見ればいいのかは非常に気になる」と関心を寄せます。
今回、キャスターの堀潤はそんなラオスにいる方々に現状を伺いました。まず、日本国際ボランティアセンター(JVC)のラオス事業担当・山室良平さんに話を聞いてみると、ラオスで開発事業が始まったのは主に2000年代からだとか。「例えば、プランテーション、ダムとか開発事業の波が押し寄せてきていまして、村人たちがかつて使っていた森が、明確に誰のものか分かりませんのでそこで取られてしまう現象が起きています」と厳しい状況を明かします。
ラオスでは、約7割の人が農村部に暮らしていますが、政府は経済成長のため電力発電事業に注力。そこには日本企業も出資しており、山林を切り開いて作られる電力はベトナムに低価格で販売される予定で、森や川、土地といった、誰のものでもない共有資源「コモンズ」は減少を続けています。
こうした状況に、ラオスボランティアチームの浅水伸介さんは「環境破壊が伴う開発は一時的にはGDPを上げたりしますが、全体的に長い視点で見るとそこに住んでいる人たちの生活が脅かされてしまうというようなことを情報発信していくことが必要だと感じています」と警鐘を鳴らします。
そこでJVCでは、自然が一方的に奪われないよう行き過ぎた開発への提言やその監視をするなどのプロジェクトを立案しています。JVCラオス事務所現地代表の東武瑠さんは「共有しているものは森林だけじゃなく、土も水も空気も河川もそうだし、あるいは文化行事だって共有している。経済発展が進む中でこういうものを維持しながら人々が安心して暮らすにはどうしたらいいかということでプロジェクトを進め、立案しているところ」、さらには「やはりまず村人の話を聞いて、どういったものが大事なのか合意点を見出していくことを大切にこれからもやっていきたい」と力を込めます。
◆日本×ラオス 外交関係樹立70周年で関係強化
今年は日本とラオスが外交関係樹立70周年で、1月21日には日本・ラオス首脳会談が行われました。そこでは両国の関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致。また、ラオスの経済発展のため、クリーン電力供給能力の潜在性発揮、教育の質向上などに協力することを発表しています。
堀は「(日本は)JICA(国際協力機構)をはじめとしたODAの実績がある国。だから地域住民との合意形成などはやっているとは言われるけれど、開発のときはサプライチェーンも裾野が広くなって、思わぬ形で小農家の方から適法範囲内で土地を活用させてもらっていないなどいろいろな問題があるので、この関係を打ち出したのは大きい」と評価。
さらなる問題提起として、「地域の人々が望む開発に投資できているか」と問い、「開発によって共生できていた地域のコミュニティが壊れてしまう(ことが考えられる)」として、「本当に地域の方々と丁寧な正しいあり方を模索できているのかなというチェックは常に必要だと思う」と経済発展と自然との共生、このバランスを危惧していました。
<番組概要>
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 18:00~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
無料動画配信サービス「Rチャンネル」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx