東京都議会は2月26日、新年度=2025年度の予算案を巡る各会派の代表質問が行われています。今回の都議会には過去最大規模となる新年度予算案が提出されていて、予算案には保育料の無償化など少子化対策の取り組みが盛り込まれています。こうした他の自治体に先駆けた取り組みに関し、東京都の小池知事は答弁の中で、いわゆる「自治体の格差」について言及し「東京と地方が共に成長する『共存共栄』が重要」だと述べました。

自民党は新年度予算案に対して「保育料の第1子無償化など、都独自の施策が数多く盛り込まれている」と評価しつつ、他の自治体との格差拡大の懸念に対してどのように取り組むのか小池知事に質問しました。都議会自民党の小松大祐幹事長は「積極的な施策に対して、行政サービスの自治体間格差を助長すると騒ぎ立てる声や、いわゆる偏在是正を進めることで地方創生を推進すべきという乱暴な主張もある。真の地方創生に向けた取り組みについて、いわゆる偏在是正に対する認識と併せて問う」とただしました。これに対し小池知事は「真の地方創生を実現するためには都市部と地方部それぞれの地域が強みを生かし、新たな産業や雇用の創出などを進め、東京と地方が共に栄え成長する『共存共栄』が重要。地域課題の解決に貢献するとともに、世界的な大都市としてのポテンシャルを生かし、日本全体の持続的な成長をけん引していく」と答弁しました。
都民ファーストの会は新年度予算案を「知事が公約で掲げた『東京大改革』を推し進めるものでなければならない」として、少子化対策の推進に向けた小池知事の方針を確認しました。都民ファーストの会の村松一希幹事長が「少子化対策の効果をより高めていくため、継続的に都民ニーズや課題を把握し、取り組みの充実につなげるべき。さらなる推進に向けた知事の見解を問う」と質問すると、小池知事は「実効性ある少子化対策をさらに推進していくため、子育て世代などのニーズや抱える課題を把握・分析し、都民目線に立って施策に反映することで、幅広い政策分野における取り組みを不断にバージョンアップしていく」と答えました。
また、公明党は新年度予算案に盛り込まれた入院患者への臨時の支援金など地域医療の確保の取り組みを評価しました。都議会公明党の東村邦浩幹事長は「国の診療報酬の上乗せといえる都政史上初めての支援金を決断した理由について、知事の見解を求める」と述べました。これに対し小池知事は「急激な物価高騰や人件費の増加が病院運営を圧迫している。誰もが住み慣れた地域で安心して必要な医療を受けられるよう、地域医療を力強く支えていく」と回答しました。
<代表質問 野党会派は予算案をどう評価?>
都議会の代表質問はこの日、夜まで続きました。共産党と立憲民主党にも新年度予算案をどう評価するのか、事前に各幹事長に聞きました。
共産党都議団の和泉尚美幹事長は「小池知事の『財界ファースト』の政治がますます色濃くなっていると感じている。プロジェクションマッピングも批判が広がっているのに、今年度も新年度でも予算が計上されている。暮らしをどうやって支えていくのか。中小・小規模事業者の営業をどう支えていくのか。そのためにこそ東京の豊かな財源を使うべき」と指摘しました。
また、都議会立憲民主党の竹井庸子幹事長は「私たちの要望に応えてさまざまな施策も入っている。そこは率直に評価する」として上で「本当に無駄なく使われているのか、厳しく見ていきたい。物価高騰で本当に困っている中小零細企業、飲食でも価格転嫁ができず困っているという声を聞く。9兆円を超す予算が足元の経済に届いていないことが大きな課題」としました。