ロボットアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』がフィリピンで実写化!TOKYO MXでも“超電磁リスペクトTV版”を放送中!来日した監督を直撃インタビュー!
2024.11.30(土)
11:50
TVシリーズ『ボルテスV レガシー』“超電磁リスペクトTV版”が、2024年11月12日(火)よりTOKYO MX(地上波9ch)で毎週火曜よる8時から放送中!(全20話)
今回は、本作の監督を務めたマーク A. レイエス V氏とプロデューサーのラーソン・チャン氏に『ボルテスV』との出会いや制作の経緯、作品にかける思いなどを伺いました!

(写真 左:ラーソン・チャン氏 右:マーク A. レイエス V氏)
TVシリーズ『ボルテスV レガシー』“超電磁リスペクトTV版”は、1970年代に放送された日本のロボットアニメ『超電磁マシーンボルテスV』を実写化した作品で、『超電磁マシーンボルテスV』の熱狂的なファンが多いフィリピンで制作されました。
現在日本で劇場公開中の映画『ボルテスV レガシー』“超電磁編集版”に続く物語が描かれており、フィリピンでは全90話が放送されましたが、日本版は全20話に再編集されています。
Q:「ボルテスV」はなぜフィリピンで人気があるのでしょうか?
レイエス氏:1970年代のフィリピンではロボットアニメが非常に人気で、「合身戦隊メカンダーロボ」「闘将ダイモス」「マジンガーZ」「UFOロボ グレンダイザー」、そして「ボルテスV」が放送されていました。
当時フィリピンではドラマは作っていましたが、アニメは製作しておらず、だからこそ大人も子どもも日本のアニメに夢中になりました。フィリピン人は家族をとても大切にするのですが、そういった文化的背景もあり、家族愛を描いた「ボルテスV」は特に人気がありました。
Q:ロボットアニメ以外にも日本のアニメは放送されていたのでしょうか?
レイエス氏:「ロボットアニメは暴力的すぎる」という理由で政府が放送を禁止していた時代があり、代わりに「キャンディ♡キャンディ」や「ドラゴンボール」といったアニメが放送されていました。これらのアニメも人気がありました。
Q:監督もそれらのアニメを見て育ったのですか?
レイエス:そうです。私は1969年に生まれました。「ボルテスV」の初回放送は1978年だったので、私ももちろん「ボルテスV」を見て育ちました。フィリピンでは「ボルテスV」を何度も何度も再放送しており、70年代、80年代、90年代、2000年代と、声優をかえながら長きにわたり放送してきました。
Q:「ボルテスV」がフィリピン文化に与えた影響は?
レイエス氏:2つあります。1つは音楽です。「ボルテスV」の主題歌はカラオケのトップ10に常に入っています。この歌はフィリピン人にとって第二の国歌のようなものです。毎年、テレビCMなどで主題歌が使われています。
チャン氏:「レッツ・ボルトイン!」というフレーズは日常でもよく使います。例えば「後で集まろう!」という意味で「レッツ・ボルトイン レイター!」と言ったりします。
Q:今回のシリーズをつくるに至った経緯を教えてください。
レイエス氏:私はGMA(フィリピンのTV局)に25年おり、最先端のSFシリーズ作品の製作に携わってきましたが、かねてから「ボルテスV」の実写版を作りたいと言ってきました。ですが資金面や権利処理の問題などがあり、どうやって進めていいのかわかりませんでした。そこでRiot Inc.に提案に行ったところ、(チャン氏の)Telesuccess Productionsと繋いでくれました。そして東映からも承諾を得ることができたので、GMAが制作に乗り出したという経緯です。
Q:ということは、レイエス監督が最初の発起人ということですね?
レイエス氏:そうです。しかしTelesuccess Productionsの社長(チャン氏の父親)やRiot Inc.もそういった企画をやりたいと考えていたそうです。同じ目的を持ったもの同士が「ボルトイン」して始まったのです。
チャン氏:私たちの会社もCGを使った作品を作る仲間を探していて、レイエス監督と出会いました。お互いがやりたいことを話し合った結果、「よし、やろう!」ということになったんです。
Q:それはTVシリーズの話ですか?
レイエス氏:TVシリーズです。ですが途中で「映画を最初に作ろう」という話になりました。
チャン氏:制作中にコロナ禍になってしまったのですが、映画公開を機にまた市場を活気づけたいという狙いがありました。
Q:Riot Inc.はどのような会社なのでしょうか?
レイエス氏:Riot Inc.はポスプロで、主にテレビCMを作っていますが、テレビや映画の特撮部門もあります。私の過去の映像作品や音楽作品でRiot Inc.が特撮を担当したことがあり、今回のプロジェクトが始まる前から関係があったので、Riot Inc.の高い技術を持ってすれば実写化は必ずできると信じていました。2014年に、GMAとTelesuccess Productionsに対して試作品を見せたところ、晴れて正式にプロジェクトがスタートすることになりました。
Q:こだわったポイントや制作過程で困難だったことを教えてください
レイエス氏:CGには非常にこだわりました。なによりも力を入れたのが合体シーンです。そこが映画の肝だからです。俳優の動きとマッチさせることにこだわり、オリジナルのイメージを崩さないことを心掛けました。
困難はたくさんありました。特に新型コロナウイルスは大変でした。子どもの俳優は撮影への参加を禁じられていたので、先に彼ら抜きで撮影を進め、規制が緩和された後に彼らだけのパートを撮影しました。コロナ禍ではお店も閉まっていたので、衣装用の生地を手に入れるのも大変でした。
Q:撮影はコロナ明けから始まったということですか?
レイエス氏:準備作業を2019年に始めました。コロナ禍ではありましたが、フェイスマスクなど感染対策をしながら撮影を開始しました。
チャン氏:撮影に入るための権利処理は2016年ぐらいから4~5年かかりました。でもそのおかげでこうして日本での公開も決まり、苦労が報われたと思います。
レイエス氏:映像の権利と主題歌の版元が違ったので、並行して交渉する必要がありました。「ボルテスV」はあの主題歌なしでは成り立ちませんから。
チャン氏:主題歌はフィリピン人歌手のジュリー・アン・サン・ホセさんが歌っていますが、彼女は日本語が話せません。日本大使が彼女に日本語の発音を教えました。
Q:フィリピンではVFX技術をどうやって発展させてきたのですか?
レイエス氏:Riot Inc.はもともと特撮の技術がありましたが、2014年に「ボルテスV」をやることが決まってからも技術を高め続けてきました。スキルを身に着け、最新のソフトウェアを導入しました。同じくCG製作に携わったGMA Visual Graphicsチームも同様です。フィリピンには新しいものを積極的に取り入れる文化があり、Riot Inc.もGMA VGも新しい技術を習得し、さらにそれを自分たち独自の技術へと発展させました。
また、近年CG/VFX技術が目覚ましく発達し、この作品を作るのに良いタイミングだったと思います。
チャン氏:もう1つ大事なことが、フィリピン人の「ボルテスV愛」です。スタッフは皆子どものころから「ボルテスV」を見て育ち、「ボルテスV」が大好きなんです。その人たちが作った作品なので、端々に彼らの「ボルテスV愛」を感じることができると思います。
Q:実写化が決まった時、フィリピンではどんな反響がありましたか?
レイエス氏:大騒ぎでした。予告編を2020年、2021年、2022年と毎年流して製作進捗を報告してきましたが、最終的に完成版の予告動画をSNSに公開した時は、24時間以内に再生回数が1000万回に達しました。フィリピン国内だけでなく、日本を含めた世界中から反響がありました。
Q:特にどの国から反響がありましたか?
チャン氏:香港、イタリア、インドネシア、キューバなどです。オリジナルアニメが放送されていた国は特に反響が大きかったです。
Q:やはり日本で「ボルテスV」を公開するということは特別ですか?
レイエス氏:もちろんです。日本で公開することを目標にしてきましたから。日本語の吹替版を初めて聞いたときは感動しました。日本のトップ声優に参加してもらうことができて本当に光栄です。
チャン氏:長年の苦労と努力が報われたと思っています。夢が叶いました。
レイエス氏:「ボルテスV」の実写版はフィリピンから日本への贈り物です!
Q:日本で映画『ボルテスV レガシー』を先行上映した時の反響はどうでしたか?
レイエス氏:9月に先行上映をしましたが、有難いことに皆さんから好評をいただきました。日本のファンの皆さんがXで盛り上がっているのも見ました。先日、東映の劇場の前で写真を撮ったりしていたのですが、道行く人々が「ボルテスVだ!」と言っているのを聞きました。映画の看板を撮っている人たちに「僕たちここにいますよ!」と声をかけて一緒に写真を撮りました(笑)
また昨年7月にサンディエゴのコミコンに出展した時も、現地のフィリピン人を含め大勢の人が来てブースに入りきらなくなり、主催者も驚いていました。
Q:TOKYO MXの視聴者に向けにメッセージをお願いします。
レイエス氏:TOKYO MXで放送されることを大変嬉しく思います。90話を20話に再編集しているということで、どんなものになっているのか私も楽しみです。
チャン氏:この作品は何百人という「ボルテスV」ファンのフィリピン人が集結して作った作品です。日本の皆様にも楽しんでいただけたら嬉しいです。
Q:これを機に日比の文化交流が深まったらいいですね。
レイエス氏:今後は例えば、日本とフィリピン合同でアニメ作品を製作するといったことに繋がっていけば良いなと思っています。
<番組情報(テレビ版)>
番組名: TVシリーズ「ボルテスV レガシー」“超電磁リスペクトTV版”(全20話)
放送日時: 毎週火曜20:00~20:30 <TOKYO MX1>
※放送時間は都合により変更になる可能性がございます。
<作品情報(映画を含めた作品全体) >
『ボルテスV レガシー』
ポータルサイト:https://voltes-v-legacy.jp
『ボルテスVレガシー』オフィシャルX:@voltesv_legacy https://x.com/voltesv_legacy