今、一部の国で深刻な健康被害となっている“NTDs”、「顧みられない熱帯病」と呼ばれるその病とは?

2024.10.22(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、顧みられない熱帯病“NTDs”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、顧みられない熱帯病“NTDs”について取り上げました。

◆新たなパンデミックの可能性も…!?

「世界三大感染症」と言われる“HIV(エイズ)”、“結核”、“マラリア”。東京都下ではどれもある程度抑制されていますが、世界を見渡せばマラリアは多くの感染者がおり、結核は国内感染者が年間約1万人発生しています。

ただ、早期発見ができれば対処は可能で、インバウンドにより海外からの観光客が増える中、今後、結核については「入国前スクリーニング」を導入予定。これにより海外からの流入を防ぎます。グローバルヘルスに関する政策提言を行う「Health for all .jp」創設者の茶山美鈴さんは、こうした感染症については「国内だけでなく国外へのアプローチが重要」と指摘しています。

そうしたなか、三大感染症以外で今、深刻な健康課題となっているのが“顧みられない熱帯病”と恐れられる「NTDs(Neglected Tropical Diseases)」です。

キャスターの堀潤は「これはこれからの時代のキーワードになるかもしれないので、ぜひ覚えておいてほしい」と注意を促します。

このNTDsはアフリカや南米の低所得国で拡大しており、原因はウイルス、細菌、寄生虫、毒素など。ただ、患者はあくまで限定された地域のみで発生しており、その数も世界全体で見れば多くはありません。しかし、茶山さんは「感染者数が少ないからこそビジネス化できず、ワクチン開発などが進まない」と危惧。結果として、問題が解決することなく放っておかれてしまうため“顧みられない熱帯病”と言われています。

そして、これがコロナのように蔓延し、再び世界中にパンデミックが訪れることがないとは言い切れません。堀は「だからこそ今、世界中から日本、先進国に対して、このNTDsの問題に世界の健康のためにも関与してほしいとSOSがあがっている領域でもある」と言います。

◆「NTDs」日本における課題とは?

また、日本では長崎大学の吉岡准教授が「(NTDsは)海外から来た人の間でしか広がらないので脅威とみなされにくい。今後、海外からの移住者増加で治療体制がないと手遅れになる」と警鐘を鳴らし、今後取り組むべきこととして実態把握と拡大抑止の仕組みの整備、検査薬・治療薬の確保への国の関与、未承認薬への対応の必要性を訴えています。

元宮崎県知事で元衆議院議員の東国原英夫さんは、以前専門家から「感染症というのは何十年かに一度はパンデミックになる」と聞いたことがあるそう。しかも、それはどんな病気なのかは予測もできないと言い、「(未来のパンデミックに対する)対策は必要だろうが、これは災害と同じでどれくらいディフェンスをしておけばいいのか、どれくらいそこに予算を費やせばいいのか判断が非常に難しい」と苦慮。

一方、関西大学特任教授の深澤真紀さんは、「例えば、ボウフラなどは水溜りにいて、今はドローンで水が溜まっているところに殺虫剤を撒いて(ボウフラの卵まで)絶滅させることを世界中のスタートアップがやっているし、日本でもJICA(国際協力機構)などがやっていて、日本の技術でもできることはあるので、それを全面的にやっていくべき」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤激論サミット
放送日時:毎週月~金曜 20:57~21:25(※放送後1週間TVerにて無料配信)<TOKYO MX1>
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

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