“第6の戦場”とされる情報空間・認知領域…そこで問われる選挙報道のあり方とは?

2024.10.15(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」。「New global」のコーナーでは、“世界の選挙報道のあり方”に着目しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」。「New global」のコーナーでは、“世界の選挙報道のあり方”に着目しました。

◆選挙報道のあり方 世界に目を向けてみると…

アメリカ合衆国大統領選挙は前回、注目すべき動きがありました。2020年の選挙ではジョー・バイデン現大統領とドナルド・トランプ氏が熾烈な争いを繰り広げるなか、FOXニュースとAP通信はいち早く速報を提供。かたや米3大ネットワーク(NBC・ABC・CBS)は“選挙報道は今こそ速報性ではなく検証”とし、しっかりと情報を精査して報道しました。これは大統領選後に不正が騒がれたこともあり、慎重な判断だと評価されました。

◆情報空間・認知領域が第6の戦場に

世界の報道のあり方を見てみると、ヨーロッパでは“フェイクニュース対策”が強化されています。キャスターの堀潤は、「いわゆるロシアからの認知戦なども含め、情報空間が非常に危うい。(陸、海、空、宇宙、サイバー空間に続く)“第6の戦場”になっていることから、従来のマスコミに対し高い専門性、虚偽情報への対抗を求める一方で、誰かは発信できるが誰かは発信されないというようなことはないよう、自由の確保も求めている」とその現状を解説します。

また、アメリカでは“メディアは立法、司法、行政に次ぐ第四の権力”とされ、独裁国家には資金を投入し、現場で自由に情報を発信しようとする市民をサポートとすると明確に打ち出しており、堀は「(アメリカとヨーロッパ)両地域ともそれだけメディアを重んじている」と言います。

◆欧米に比べて、日本の選挙報道は…!?

しかし、日本はというと選挙報道については自主判断に委ねられているところがあります。テレビ番組とCM放送を調査・分析しているエム・データ社の調べによると、選挙によってメディアの扱いに大きな差があることがわかっています。

例えば、2012年以降の関東地上波7局で公示日から投開票日に放送された都知事選に関する報道の放送時間を見ると、2012年は合計で約5時間。しかし、小池百合子現東京都知事が初当選した2016年は15倍の約78時間。そして、今年の都知事選は約25時間。この差はメディアの関心なのか、世間の関心によるものなのかは分かりませんが、大きなばらつきがあります。

その他にも選挙によっては主要候補のみ名前を読み上げられたり、公示直前・選挙期間中に意図しない候補者の映り込みなどの問題もありますが、放送界の倫理を司るBPO(放送倫理・番組向上機構)はこうした選挙報道について、「放送法の“政治的に公平であること”はあくまで倫理規範であり、選挙報道に求められているのは量的公平ではなく質的公平」と主張。

これについて堀は、「要は均等に話す機会を求めているのではなく、主要候補を取り上げることなどは放送倫理違反にしないとの見解を示している。これでいいのか?」と疑問を呈します。

食文化研究家の長内あや愛さんは、「誰が何をどう判断するのか質的公平は難しいし、見る側も意識しないといけない」と頭を悩ませると、堀は個人的見解と前置きした上で「(番組を)作っている側、製作側が“私はこういう思いで作っている”とどんどん言うべき。我々(報道陣)は“無色透明です”みたいなことはもう言わないほうがいい」と提言していました。

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<番組概要>
※2024年10月より番組リニューアル
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 18:00~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

 

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