貧困対策から地域活性まで…世界で広がるデジタル通貨のメリット・デメリット

2024.10.08(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」。「New global」のコーナーでは、世界で広がる“デジタル通貨”の現状を取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」。「New global」のコーナーでは、世界で広がる“デジタル通貨”の現状を取り上げました。

◆アフリカなど新興国でデジタル通貨が拡大

ロイター通信によると、タイのジュラプン財務副大臣は社会的弱者の支援策として「デジタル通貨配布計画」を開始。その第一弾として、1,450億バーツ(約6,000億円)を配布する方針を示しました。

タイ政府はこれまで4,500億バーツ(約1兆9,000億円)規模の「デジタル通貨配布計画」を掲げ、スマートフォンのアプリを通じて5,000万人に1人あたり1万バーツ(約4万円)配布し、地元地域で使用できるようにするとしていました。なお、この計画にはこれまでに社会的弱者を含む約3,200万人が登録しているということです。

こうしたデジタル通貨について、経済アナリストの馬渕磨理子さんは、「銀行口座を持っていない方にもシームレスにお金を渡せるという意味では便利だが、既得権が絡むような国とかは、なかなか進みづらいのでは」と指摘。

これに、キャスターの堀潤は「だからこそ開発途上国や新興国のほうが、導入が早い」と頷きます。

実際、アフリカではモバイル決済が広く普及しています。なかでもケニアのモバイルマネー「M-PESA」はアフリカ全土に拡大する勢いだそうで、ケニア国内だけを見ると、成人のモバイルマネー普及率は90%以上。これまでは出稼ぎで稼いだお金を実家に届ける際にさまざまなトラブルが起きていたそうですが、モバイルマネーの普及で確実な仕送りが可能になったそうです。

また、カンボジアでは国立銀行とブロックチェーン技術開発を行う日本企業が共同開発したデジタル通貨「バコン」が普及。そこにはドル依存を減らし、カンボジア通貨「リエル」を強化する狙いもあり、堀は「開発途上国・新興国はドル決済の信用度が高く、ドルの価値が相対的に高まってしまう傾向がある。通貨はその国の主権そのもので、力とあって自国通貨を使えるようにデジタルにしている」とその背景を分析します。

◆デジタル通貨に関する日本の現状

日本でもデジタル通貨の導入は徐々に進んでいます。例えば、和歌山県橋本市には、市内の経済循環の向上や地域・行政課題の解決の促進などを目的として作られた「Hashi-Mo」があります。これは地域の商店街で使え、QR決済も可能。プレミアム商品券などが出しやすくなり、再分配もしやすいとされ、さらには「こうしたものを使うことで高齢者のデジタル通貨への接点を増やせる」と堀。そして、2025年に開催される「EXPO 2025 大阪・関西万博」でも「EXPO 2025 デジタルウォレット」が導入される予定です。

「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「政府が現金給付をした際、それが貯蓄に回ってしまう問題があるが、こうした選択肢ができればちゃんと使ってもらえるかもしれないので、日本でももっと進めば」とデジタル通貨に肯定的な姿勢を示します。

お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さんは、カンボジアがデジタル通貨に関して日本の先を行っていることに驚きつつ、「なぜ日本はいつもクーポンや商品券になってしまうのか……」と嘆きます。

最後に、馬渕さんは改めてデジタル通貨のメリット・デメリットに言及。「デジタルで給付すると使用期限がつけられ、“腐るお金”にできるので、使わないといけなくなる。そのため消費が促さられる可能性があるので進めてほしいが、いろいろな既得権があったり、さらにはブラックアウト(停電)などが起きたときに使えなくなってしまう。その辺りも含めて、今後は考えていかなければいけない」と話していました。

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<番組概要>
※2024年10月より番組リニューアル
番組名:堀潤 Live Junction
放送日時:毎週月~金曜 18:00~19:00(※18:55終了の場合あり) <TOKYO MX1>
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/live-junction/
番組X(旧Twitter):@livejunctionmx
番組Instagram:@livejunction_mx

 

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