私たちが乗る電車の安全性に関わる不正が発覚しました。東京メトロは9月18日、車両の組み立て作業で200本以上の車軸に社内の基準を超す圧力がかかり、不正に記録を書き換えていたと明らかにしました。また、東京都も都営地下鉄などで同様の不正があったと発表しました。
東京メトロによりますと、車両の車輪同士をつなげる車軸を接合する時の圧力について、検査した1万1000本の車軸のうち225本で社内基準を上回っていたと明らかにしました。また、車軸を組み立てたグループ会社が、圧力の数値が基準内に収まるように記録を不正に書き換えていたということです。通常、基準を超えた場合に必要となる作業のやり直しをしておらず、車軸に強い圧力がかかると車軸の破損につながる可能性があるということです。
この問題は9月12日、JR貨物が同様の不正を発表し、国土交通省が全国の鉄道会社に緊急点検を指示したことから発覚しました。東京メトロの株主である東京都の小池知事は東京メトロの不正発覚を受け「JR貨物の課題が出てきて 一斉にチェックをしているところ。担い手にしっかり対応するよう指示している」と話すなど、事業者に適切な対応を求めました。
この事態を受け、国土交通省は19日にも東京メトロなどに立ち入り検査を実施する予定です。
<車軸の圧力記録を改ざん 東京メトロと都営交通>
東京メトロが発表したデータの不正な書き換えの内容について詳しく見てみます。
データの書き換えは東京メトロのグループ会社が行う、鉄道車両の車輪と車軸の組み立て作業で起こりました。組み立て作業は、車輪に車軸を圧力をかけて押し込んで組み立てていくものですが、その際に記録される圧力の数値が基準値を超えていた車軸が225本確認されました。基準値を超えた場合は本来、一度引き抜いて、再度組み立て作業を行わなければなりませんが、やり直しの作業を行わず、記録された圧力のデータを基準値以内の数値に不正に書き換えていたということです。
圧力を強くかけた場合、車軸や車輪に傷がつくなど破損の原因になる可能性があるということですが、225本の車軸のうち223本は社内基準値は超えていたものの、日本産業規格=通称・JIS規格が定める「上限基準値の+10%以内」には収まっていたため、緊急検査で安全性を確認した上で使用しているということです。
ただ、残り2本の車軸はJIS規格の110%を大幅に超えていました。このうち最大となる134%の圧力がかかっていた車軸は2020年11月から約3年10カ月にわたって有楽町線と副都心線の車両で使われていたということです。この車軸2本については不正が発覚後すぐに使用を中止し、今後、車輪の組み立て作業をやり直すということです。
一方、東京都が運営する都営地下鉄や都電でも基準値内に収まらない車軸が467本あり、データの不正な書き換えがあったと発表しました。都営三田線、新宿線、大江戸線、都電荒川線で使用されていて、このうち大江戸線では使用を中止していますが、その他の路線については点検を行い、運行に影響はないと判断し、使用しているということです。
私たちの暮らしに欠かせない公共交通でなぜ、このようなデータ改ざんが起こってしまったのでしょうか…。東京メトロでは19日から国土交通省が立ち入り検査を実施します。
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