東京・豊島区は9月18日の区議会で、性的マイノリティーの人たちについて、パートナーの親や子どもたちと家族であると公的に証明する「ファミリーシップ制度」を導入する条例改正案を提出しました。可決されれば条例としては東京23区で初となります。
豊島区が区議会に提出した「ファミリーシップ制度」は、性的マイノリティーの人たちを巡り、パートナーの親や子どもらと家族であるとして公的に証明するものです。これにより、家族を対象とする行政サービスへの申し込みがパートナーでもできるようになります。法的な拘束力はなく、事実婚は含まれません。受理証明書の「見本」には裏面に「子や親の氏名」と書かれていて、家族の名前を記載できるようになる見込みです。
豊島区はこれまで性的マイノリティーのカップルを「結婚に相当する関係」として証明する「パートナーシップ制度」を2019年に導入しました。その後「パートナーの連れ子や親と家族であることを証明できるものが欲しい」という当事者の声を受け、今回、区がファミリーシップ制度の条例案を区議会に提出しました。
都内では、議会を経ずに区長が決める「要綱」として、足立区や世田谷区がファミリーシップ制度をすでに導入していますが、豊島区によりますと議会の議決が必要となる「条例」としては、成立すれば23区で初めてになるということです。豊島区の高際区長はTOKYO MXの取材に対し「『要綱』で区長決定で進めるという考えもあったと思うが、ここはやはり区議会でしっかり審議してもらい進めていきたい。区長が代わっても簡単にはやめられないような『条例』で、区としてしっかり作っていく」と語りました。
制度の導入について、豊島区で性的マイノリティーの社会課題に取り組んできたNPO法人「レインボーとしまの会」の小吹文紀共同代表は、生き方の選択肢が広がるのではないかと評価しています。小吹さんは「すごくうれしいというか喜ばしい」とした上で「私の知り合いでもファミリーシップ制度があるんだったら子育ても考えてみようかなという人もいる。あるいは、子持ちの2人が一緒になって、一緒に子育てしていこうかなということも、やはりこの制度ができる・仕組みがあるということが背中を押してくれるような気がする」と話しています。
豊島区は議会での条例成立を経て、11月1日に施行することを目指しています。
<ファミリーシップ制度でどう変わる?>
性的マイノリティーの人たちを巡り、パートナーの親や子どもを家族として公的に証明する「ファミリーシップ制度」とはどういうものか、詳しく見てみます。
豊島区では、これまで受けられなかった行政サービスが受けられるようになります。具体的には、子育て関連では妊娠・出産・育児などに関する講座を受ける「母親学級」にパートナーが参加できるようになるほか、障害者の就労支援の相談もできるようになります。また、高齢者を対象とした福祉関連では、特別養護老人ホームの入所の申し込みや、高齢者用の紙おむつの購入費助成に関する申請などが家族としてできるようになるということです。
また、条例化はしていないものの、足立区や世田谷区でもファミリーシップ制度が導入されていて、足立区では区営住宅の入居の申し込みが一緒にできるほか、区民税や都民税の証明書の交付が代理でできるようになっています。
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