東京都が給食費の無償化にむけ、自治体負担の8分の7を補助すると発表したことを受け、多摩地域の自治体が続々と無償化を打ち出しています。ただ、来年度以降も継続できるかなどの課題が自治体からあがっています。

東村山市 渡部市長:「遅ればせながら来年の1月から小中学校の給食費について、完全無償化する」
東村山市は9月11日に臨時の会見を開き、東京都の補助を利用して3学期の小中学校の給食費を無償化する方針を発表しました。
小池知事:「すべての市町村で給食費の無償化が実施できるように、本来国が行うことだが、国が無償化について自らの責任で実施するまでの間、市町村総合交付金を拡充をするというものです」
小池知事は先週の会見で、給食費無償化を推進するため補助額を拡充する方針を示しました。都は今年度、給食費の減額に取り組む自治体の負担の半分を補助していましたが、8分の7まで拡充するとしています。
都内の自治体では先週、都が方針を発表した時点で、62区市町村のうち、多摩地域の11市で完全無償化を実現できていませんでした。その後、11日までに東村山市・東久留米市・羽村市・あきる野市の4市が、3学期分の給食費を無償化する方針を打ち出しています。
東村山市 渡部市長:「市として楽とは言える額ではない。東村山市にとっては大変厳しい額だが、事業費の8分の7を東京都がみていただくので」
ただ、東京都の予算案では今年度の3学期分の負担をする方針となっていて、渡部市長は東京都に来年度以降の継続を求めていく考えです。
東村山市 渡部市長:「今後の市としても市長会としても、なんとか多摩地域全域で完全無償化が推進できるように、事業の継続をとにかく東京都に求めていきたい」
多摩地域ではこれまでに4つの自治体が無償化の方針を打ち出しています。ただ、多摩地域の自治体に取材をしていると、東村山市以外でも8分の7の補助があっても「無償化は簡単ではない」という声が聞こえています。
まずは、東久留米市です。東久留米市の富田市長は11日、市議会の委員会の中で無償化への方針について「3学期からの実施に向けて対応していきたい」と実現する方針を示しました。ただ「一方で、財源の確保や歳出削減が課題だ」と予算面での課題に向き合う必要があるとしています。
次に、無償化へのハードルが高いとみられる、これまで保護者が全額負担していた自治体は次のように話しています。
清瀬市の担当者は「8分の7を補助していただけるため前向きに検討していきたい」と、無償化を進めたい意欲を示していましたが、「他の自治体と比べて厳しい財政状況なので、8分の1の負担でも清瀬市にとっては貴重な支出だ」と、苦しい懐事情を漏らしていました。
東京都の担当者は来年度以降の給食費補助について、「国の動きを注視して継続の判断をしていきたい」と話しています。都が取り組みを継続するのか、さらなる拡充もあるのか、今後の舵取りが注目されます。