神宮外苑再開発 事業者が伐採124本減らす見直し計画を発表

2024.09.10(火)

10:20

明治神宮外苑の再開発を巡って、事業者を代表する三井不動産は、3メートル以上の木の伐採本数を当初の計画から100本以上減らす計画に見直すと発表しました。また、イチョウ並木保全のため、新たに建設する施設との距離についても広げる考えです。

明治神宮外苑の再開発を巡って、事業者を代表する三井不動産は、3メートル以上の木の伐採本数を当初の計画から100本以上減らす計画に見直すと発表しました。また、イチョウ並木保全のため、新たに建設する施設との距離についても広げる考えです。

明治神宮外苑の再開発では当初、名所のイチョウ並木は保全される一方で、3メートル以上の樹木743本を伐採する予定でした。

事業者を代表する三井不動産は9月9日、メディア向けに説明会を開き、計画の見直しによって伐採本数を124本減らし、619本にすると発表しました。

現在、神宮外苑の再開発が行われるエリアには3メートル以上の樹木が1904本あって、当初の計画では743本伐採する一方で、木を新たに植えることで94本増える予定でした。今回、計画を見直し、伐採や移植の本数を減らすことでその分が保存されることになります。また、見直しに合わせて新たに植える樹木も増やすことが発表され、樹木の本数は現在よりも400本増える計画になりました。

そして今回、名所のイチョウ並木を確実に保全するための見直しも行われました。事業者は2023年1月と2024年1月にイチョウの根の調査を実施しました。この調査の結果を受け、イチョウ並木の脇に新たに建設する野球場などの施設との距離を約8メートルから18メートルほどに広げます。

再開発を巡っては、工事を認可した東京都が2023年9月、伐採をする前に保全策を提示するよう事業者に要請していました。計画の見直しはこれを受けた形です。事業者に要請していた東京都の小池知事は今回の見直し発表について「今、所管の局で受け取って精査している。内容についてぜひ、事業者は都民の理解・共感を得られるように伝えてもらいたい」と述べました。

<神宮外苑再開発 事業者が計画見直し>

都知事選でも争点の一つといわれた「神宮外苑の再開発」について、事業者側が見直し案を発表しました。取材を続けているTOKYO MX 都政担当記者による解説です。

当初よりも樹木の伐採本数が大幅に減った理由は「施設の設計などを見直したことで、伐採から保存に変更できた」「2018年~19年に行った樹木の活力度調査で当初計画案が作られたものの、2023年に行った調査で“回復した樹木”が複数あり、伐採から移植に変更できた」ことが挙げられます。この移植樹木の中には、当初、伐採予定だった秩父宮ラグビー場に向かう道にあるイチョウ並木18本も含まれていますが、移植できるかどうかについては今後、根などを調査して判断するとしていて、確定していない樹木も含まれます。

見直し案では新しい野球場と4列のイチョウ並木との距離についても、当初の8メートルから10メートルほど離され18メートルほどへと変更されました。新球場建設への影響について、この日の説明では「詳細はこれから」とされましたが、当初の予定と比較した場合、外野の観客席の数が減る可能性もあり、どう補うかについては今後検討していくようです。

では、今回の見直し案によって今後の再開発事業はどう進むのでしょうか。工事はすでに当初の予定よりも1年ほど遅れていて、神宮第2球場の解体工事は2023年には完了する予定だったものが現在も続いている状況です。この第2球場の跡地に建設予定の新たなラグビー場は2024年冬から建設工事が始まる予定でした。神宮外苑の再開発は並行して複数の施設を建設するのではなく、リレー方式のように建設していくため、1つが詰まると全体の計画に影響することとなってしまいます。ただ、三井不動産は「全体の整備完了予定の2036年については、現時点では変更しない」としています。また、住民説明会を開催していくとしていますが、今のところ、説明する対象住民は「検討中」としています。

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