漏水対策に衛星データ活用 都内企業の“新技術”

2024.09.06(金)

10:40

私たちの生活に無くてはならない「水」にいま、大きな課題が生じています。それが、水道管の老朽化です。全国ですすむ水道管の老朽化は漏水にもつながる可能性があり、対策が急務となっています。この問題を解決に導こうと、都内の企業によって開発された宇宙衛星を使った新技術が今注目されています。どんな技術なのか、その企業を取材しました。

私たちの生活に無くてはならない「水」にいま、大きな課題が生じています。それが、水道管の老朽化です。全国ですすむ水道管の老朽化は漏水にもつながる可能性があり、対策が急務となっています。この問題を解決に導こうと、都内の企業によって開発された宇宙衛星を使った新技術が今注目されています。どんな技術なのか、その企業を取材しました。

中央区日本橋に本社を構えるベンチャー企業「天地人」のオフィスです。天地人ではこれまであまり活用されてこなかったという地球観測衛星の情報を使って、作業の効率化や環境問題の解決に向けた様々なサービスを展開しています。そこで焦点を当てたのが「水道管の老朽化」でした。

天地人 百束副社長:「水道管はそもそも耐用年数を超えているものが多い。インフラがそもそも古くなっていて、漏水や事故が増えている」

全国の水道管のうち耐用年数を超えたものの割合を示したグラフでは、右肩上がりで割合が増えていて、2021年には22.1%にまで増加しています。この水道管の老朽化により懸念される問題の1つが「漏水」です。

東京都では現在、漏水の発生に確認するために、専門の職員がこれまでの漏水の情報や経験を頼りに、最終的には人の耳で水漏れの音を聞きだし、場所を特定しています。天地人はこうした調査の労力や時間を減らし、さらに効果的に行うために衛星データを活用して、漏水リスクを評価するシステムを開発しました。

地面の温度や隆起のデータなどを組み合わせることで、漏水が起こりやすい場所を知ることができます。すでに全国20の自治体がこのサービスを活用していて、その効果として漏水に関わる点検費用が最大65%、削減調査期間が最大85%削減されたという検証結果も出るなど、実用的な水道管の漏水対策として期待されています。

天地人 百束副社長:「宇宙だからこそできるサービスがあると思う。広いデータが取れて、過去の情報もあって、そういった特徴を活かしながら、地球や人のためになるようなサービスを広げていけると良いなと思っている」

この衛星データを活用した漏水リスクを評価するシステムは東京都や国も注目していまして、東京都水道局は今年天地人と契約し、どのように活用できるか検討を進めています。

また国は先月発表した新たな「水循環基本計画」の中で、上下水道の基盤強化のためこうした人工衛星データを活用することをあげています。今後、水道管老朽化だけでなく衛星データの活用がどのように進んでいくのか注目されます。

 

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