全国的に問題となっているコメ不足の問題です。多くのスーパーなどで棚から在庫が消える中、坂本農林水産大臣は8月27日、コメが品薄となっているこの状況について、徐々に解消に向かうという見通しを示しました。

今月、新宿区のおにぎり店を訪れると…

アメリカから来た観光客：（Q：おにぎりどうですか？）「とても美味しい、100%また来ます」「（おにぎりが）とても好きです、すごく食べたかった」

この店では新潟県産のコシヒカリを使用していますが、今後入ってくる新米の値上がりを懸念する声が聞かれました。

おにぎり専門店まんま 橋本さん：「お米屋さんと話した時には、次のとれるお米は少し値上げがされるということは忠告されています。お米がとれないっていうのとプラスして、需要が高まっている」

コメは去年の猛暑による品質低下で流通量が減ったほか、日本を訪れる外国人客による需要が高まった影響で、品薄や価格高騰が続いています。今年6月末時点の主食用のコメの民間在庫量は、去年6月から約2割減り、統計を取り始めた1999年以降で過去最少となりました。

さらに今月追い打ちをかけたのが、地震や台風の影響による「買いだめ」でした。深刻な不足はさらに加速し、スーパーの棚からコメが姿を消す事態に。こうした状況に、坂本農林水産大臣は27日の記者会見で、新米の流通で不足感が徐々に解消に向かうという見通しを示したのです。

坂本農林水産大臣：「（新米は）平年より一週間程度収穫が早まる産地もあり、併せて出荷も前倒しで行われる見込みです。このため米が品薄になっている状況につきましては、今後順次回復していくものと見込んでおります」

この発言に街の人からは…

「それは安心しました。（Q:コメ不足解消について）スーパーに買い物に行った時に、棚がちょっとスカスカしているなという感じ。買えない日もあるんじゃないかなとは思って不安にはなる」「助かります。でもきっと上がってるんでしょうね、値段的には。（スーパーに）1袋だけあってそれを買って助かったんですけど、1か月持たせる」「何か「新米が出たら」とかいろいろいってますけどどうなんですかね。この子も幼稚園だしお弁当が必要だし、もうどんどん今食べる量も多くなってるんで、お米が足りないの本当に困ります…」「お米が大好き」

墨田区の米店を尋ねると…

記者：「都内の米店にきています。普段は4種類販売しているそうなんですが、米不足により2種類しか販売できていないようです」

こちらの店ではすでに新米が入ってきていますが、今もコメ不足を実感しているといいます。

都内の米店 宮崎さん：「スーパーで購入できないお客さんがうちに殺到していまして、今までお米屋で購入されなかったお客さんもたくさん買いにきていただいていて、嬉しい悲鳴なんですがそこまで購入いただけるお米が揃っていないというのは悔しいところでもあります」

新米で十分な入荷量が確保できていませんでした。店の代表は政府の「コメ不足解消」の見通しに懸念を示します。

都内の米店 宮崎さん：「本当に解消されるのかなって、なんか疑心暗鬼になっちゃいます。本当に価格が去年と全然違うんで」

「令和のコメ騒動」とも呼ばれている今回の事態ですが、31年前の1993年に起きた「平成のコメ騒動」の時とは、原因が異なるものとなっています。

平成の時は、記録的な冷夏と日照不足により、コメの収穫量が激減したことが原因で国産米が不足しました。

一方で今回は、去年、猛暑と水不足の影響で、コメの出来があまり良くなく、流通量が前年より減った中でインバウンドの増加や、小麦などに比べ価格上昇が緩やかだったため、コメの需要が増えたことにより、在庫量が減ったために起きているんです。

では、これから出回る新米についてですが、コメの市況調査会社の米穀データバンクによりますと、今年のコメの出来具合は「平年並み」と予測していて、主食用米の予想収穫量も前年比から2.7%増の678万9千トンと推計しています。

農水省の関係者も、「産地から生育は順調だと聞いている。今後は新米が本格的に出回り始めるので、品薄は解消に向かうと見込んでいる」としています。

また、平成のコメ騒動をきっかけに、政府は備蓄米を100万トン持っていますが、この備蓄米の放出について、坂本農水大臣は、「コメの品薄は今後、順次回復していく。コメの需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべきものだ」として、現時点では慎重な姿勢を見せていて、消費者には普段通りに買い求めてほしいとしています。