東京メトロ 10月下旬にも上場へ

2024.08.21(水)

10:20

今年最大の上場案件となる可能性があります。東京メトロが10月下旬にも、東京証券取引所への上場を目指していることが分かりました。時価総額は6000億円を超える規模になるとみられます。

今年最大の上場案件となる可能性があります。東京メトロが10月下旬にも、東京証券取引所への上場を目指していることが分かりました。時価総額は6000億円を超える規模になるとみられます。

地下鉄・銀座線や丸ノ内線など9つの路線を運営している東京メトロをめぐり、株式を保有する国と東京都が10月下旬にも上場するよう調整していることが分かりました。時価総額は6000億円を超える規模になるとみられます。

東京メトロの株式は現在、国が53.4%、東京都が46.6%を保有していて、上場に向けては、国と都であわせて50%の株式が売却される見通しです。このうち、国が保有する分の株式の売却による利益は、東日本大震災の復興財源を賄うために発行した復興債の返還に充てられます。

一方、都が保有する分の株式売却による利益について、都の担当者は「売却の時期や価格も未定で、利益の使い道も現時点では未定」だとしています。

東京メトロの上場について詳しくお伝えする前に、まずは東京メトロのこれまでの成り立ちから見ていきます。

東京メトロは、実質的に国と都が運営していた営団地下鉄を民営化する動きから、2004年に現在の東京地下鉄株式会社、通称・東京メトロとして誕生しました。

ただその株式については国が53.4%、都が46.6%を保有する形となり、実質的には民営化はされていません。この民営化を果たすためには民間に株を売却しなければならないわけですが、2011年国が売却の意向を表明する中、当時の石原都知事はこんな発言をしていました。

東京都石原慎太郎知事(当時):「売るんだったら買いますよ東京が。少なくとも過半の株を持つことは必要だと思いますから。これだけ株の安い時代に売るのもバカな話だと思うけどね。東京メトロなら必ず儲かる会社だから」

国が株を売却する意向を示したことに対して、東京都は「過半数以上の株を持ち続ける」と当時の石原都知事は言及していました。しかし今年、東京都の今年度予算案に東京メトロの株売却の経費として約36億円が確保されたことで、上場が現実味を帯びてきました。

ではなぜこの時期での上場と株の売却が検討されたのか、都の判断の変化について経済の専門家はこう話しています。

経済アナリスト共同PR総研所長 池田健三郎さん:「第一義的には都民国民の貴重な財産である東京都の地下鉄の株ですから、これをできるだけ高く売るということがまず非常に重要なこと。高く売りたいが結局株式市場を見るとバブル崩壊後ずっと低迷してきた。なかなか売りどころがなかった」「都知事としては当然、民間株主が少ない組織に対して都の方針を実行させるということの方が都知事としてはやりやすい。あえて民営化しないという方法をとった方が、当然政治的な力を発揮しやすかった」

経済アナリストで共同PR総研所長の池田健三郎さんは、これまで都が売却を渋ってきた理由として、日本株の低迷と地下鉄事業への影響力の低下をあげました。

そして今回の上場の具体的な時期が出てきた背景には、最近の株価の上昇やある程度の都市開発に目処がたったことで、この2つの懸念が払拭されたからではないかと分析しています。

ただ売却の後も、株の半分は国と都が保有すると見込まれていますので、東京メトロは当面は行政の意向を色濃く反映しながらの運営が続きそうです。

RELATED ARTICLE関連記事