宮崎県で震度6弱を観測した地震により、気象庁は今後の巨大地震への注意を各地に呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」を発表、お盆休みの交通機関などさまざまな分野に影響が出ています。

8月8日午後4時43分ごろ、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県日南市では震度6弱を観測しました。総務省消防庁によりますと、この地震でけがをした人が熊本県や宮崎県、鹿児島県で合わせて13人に上っています。地震を受け、気象庁は「南海トラフ地震の震源想定域で大規模地震が発生する可能性が普段より高まっている」として臨時情報を発表し、今後1週間程度は巨大地震に注意するよう各地に呼びかけています。また、巨大地震の前兆となるひずみは今のところ確認されていないということです。
お盆休み直前の巨大地震への注意呼びかけで、交通機関にも影響が出ています。JR東海は東海道新幹線を三島駅(静岡県)-三河安城駅(愛知県)の間で1週間程度速度を落として運行する予定です。名古屋へ旅行する親子は「旅行の間、何もないといいなと思っている。ニュースをよく見て、地震の情報には気を付けたい」、兵庫に帰省する男性は「実家もあまり新しい家ではないので、地震が次あったら少し心配。防災用バッグなど、この機に検討はしている」と話していました。一方、羽田発着の空の便に大きな混乱はみられませんでしたが、九州地方に向かう人たちは不安な表情で飛行機に乗り込んでいました。大分に帰る人は「南海トラフが来るかもしれないと聞いているので怖い。日頃から災害への準備はしているので、帰ったらまた防災グッズなどを確認したい」と話していました。
<南海トラフ地震 都内への浸水・津波被害想定>
日向灘震源の今回の地震で、気象庁は南海トラフ地震の注意情報を出しました。政府は地震への備えとして、家具類の転倒防止策や食料や飲料の備蓄、家族同士の安否確認方法など、非常時に備えるよう呼びかけています。
一方、今回の注意情報を受け、全国各地で対応に追われています。和歌山県の白良浜など、防災対策推進地域にある海水浴場では閉鎖する所も出てきています。また、愛知環状鉄道は鉄道各社が作成する「地震防災応急計画」に則して不要不急の旅行中止を8日夜、呼びかけましたが、利用客から心配の声が上がったため、翌日になって取りやめる事態となっています。
万が一南海トラフ地震が発生した場合、東京ではどのようなことが想定されているのでしょうか。まとめました。
南海トラフ地震では静岡などで震度7が予想されていて、東京は震度4から5弱ほどの揺れとなる想定になっています。また、津波は23区の一部や島しょ部で発生する想定となっていて、20メートルを超えると予想されている場所もあります。
東京都が2022年に発表した被害想定では、23区では江東区で最大2.63メートル、中央区で最大2.42メートルのほか、合わせて6つの区で最大2メートルを超える津波が来ると想定されています。この予測について、江戸川区は「堤防を超える想定はない」としていて、江東区も「河川敷への浸水の恐れはあるものの、住宅地への浸水は想定していない」と公表しています。一方、品川区については「立会川周辺の一部の住宅地で浸水の恐れがある」として注意を呼びかけています。
島しょ地域についても、それぞれの島への最大の津波の大きさと到達時間の想定がまとめられています。大島には揺れから約23分で16メートルほどの津波が、式根島にはわずか14分で28メートルもの津波が到達すると想定されています。島しょ地域全体の被害としては建物被害が1258棟、死者が952人と想定されています。