小金井市 新庁舎建設“住民投票”否決 不成立に

2024.08.02(金)

10:50

小金井市議会で新庁舎建設の是非をめぐる住民投票条例案が審議され、否決されました。白井市長は「建設をしっかり推進するという議会の意志だ」と受けとめ、計画通りに進めていく意欲を示しました。

小金井市議会で新庁舎建設の是非をめぐる住民投票条例案が審議され、否決されました。白井市長は「建設をしっかり推進するという議会の意志だ」と受けとめ、計画通りに進めていく意欲を示しました。

小金井市は築約60年となる本庁舎を、老朽化などの理由で予算115億円ほどをかけて新たに庁舎を建設する計画を進めています。この計画に反対する市民団体が今年5月に 28億円ほど削減できるとする見直し案を示し、約3500筆の署名を集め、現行案か見直し案かを住民投票で決めるよう直接請求しました。そして7月31日、小金井市議会の臨時会で住民投票条例案が審議されました。

市民団体 加藤共同代表:「市民が知らないところで事業が進められている。こういう知らないところで大変な事業が進められていることは私は問題だと思う」

市民団体は「計画が十分に周知されていない」と主張。午前10時から始まった議会では、住民投票に賛成する会派が市の対応や姿勢について細かく確認する場面が長く続き、午後10時まで議論が行われる事態となりました。

◆住民投票に賛成:子どもの権利を守る会渡辺大三市議:「工事期間の短縮、大幅なコストダウンに全く答えないで設計されたものであり、見直し案への転換が求められている」

共産党 水上洋志市議:「3564筆の有効署名により直接請求が成立した。こうした市民の声をしっかりと市長都議員各位には受け止めていただきたい」

◆住民投票に反対:生活者ネットワーク 安田けいこ市議:「現行案に基づくものとするか、見直し案に基づくものにするか、市民の意志を明らかにするとされている。この問いの立て方自体が適切ではない」

街の仲間たち 清水学市議:「もういい加減、小金井市政を前に進めるため、検討を終え、長年検討が続けられてきた庁舎建設に結論を出さないといけない」

12時間に及んだ議論を終え下された結果は…条例案は反対多数により否決されました。「現行の案は適正だ」として、住民投票に反対していた白井市長は…

白井市長:「新庁舎・福祉会館の建設をこれまでのプロセスをしっかりと踏まえて評価していただいて、これからしっかり推進していくようにという議会の意志だと受け止めている」

また、「市民への情報発信などの課題を指摘されたので、これからも理解をいただけるよう取り組んでいく」と話しています。

小金井市の新庁舎の計画について、これまでの経緯を見ていきます。この新庁舎建設の事業ですが、始まったのは約40年前です。

1986年に小金井市は建設地の検討を開始しました。そして、25年後、2011年に基本構想を策定し、2013年には計画を策定。ただ、その翌年には「財源の確保が厳しい」などの理由で、事業は凍結となりました。

市庁舎を含む複数の施設の複合化を検討することになり、2018年に複合化を含む新庁舎整備計画を策定。2020年には実施設計に着手するも、コロナ禍による財政難などによりこのときも協議は難航しました。そして2022年の市長選挙で「早期着工」を訴えた白井市長が当選を果たし、去年5月に白井市長が事業を再開する方針を打ち出しました。

今回の住民投票条例案が否決されたことで事業は進むことになりますが、市議会では建設費高騰への対応などの課題が指摘されていて、今後も市は難しいかじ取りを迫られそうです。

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