TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、26ヵ月連続で減少している“実質賃金”について取り上げました。

◆実質賃金、過去最長となる26ヵ月連続減
厚生労働省が発表した毎月勤労統計の速報値によると、基本給と残業代などを含んだ1人あたりの今年5月の給与は平均29万7,151円。去年の同月と比べ1.9%増えました。
しかし、物価の変動を反映させた実質賃金は、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかない状況が続き、去年の同月と比べ1.4%減少。実質賃金が前年を下回るのは26ヵ月連続で過去最長を更新し続けています。厚労省の担当者は、今後も賃上げ効果で現金給与総額は伸びると見ていますが、物価上昇が落ち着かないと実質のプラス転換は難しいとの見方を示しました。
◆実質賃金を上げるために必要なことは?
上がらない実質賃金について、哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんは、「もう賃上げを期待していくしかない」と言いつつ、「一方で思うのは、賃上げに必要な条件のひとつに労働流動性が高まらないといけない」と上昇のための要件を挙げます。そして、「ある程度より良い雇用条件を求めて人々が移動しないと企業も(給料を)上げるモチベーションが上がらない。賃金が安くてもみんな大人しく働く現状があると、(企業も)なかなか(給料を)上げる形にならない」と指摘します。
さらには、「流動性は企業側と労働者側のひとつの力関係の現れ。(労働者が)こんなところで働きたくないから出ていくというのもひとつの態度表明であり、労働者が従順すぎる現状をなんとかしたい。やはり労働者が声を上げていくことが必要」とも。
一方、「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「私の友人はみんな『給料が安いから』と辞めている。だけど、結果(辞めた人も)人手不足のなか、給料が上がるということでもなく、(企業も)残った人たちが頑張ってなんとかしてしまう」と自身の周囲で起こっている現状を吐露。その上で、「もっと(企業が)機能しなくならないくらい(人が)辞めたら変わるかもしれないが、結局若い人の給料を上げましょうというところまでなかなかいかない。そこをどうしたらいいのかはすごく難しい」と頭を悩ませます。
経済アナリストの池田健三郎さんは、「流動性が高まるということが労働側と経営側、双方にメリットがあるということに日本はなかなか行きつかない。経営者の頭のなかはまだまだ昭和で、労働者もいまだに同じ会社にいることがいいと思っている」と長年変わらない体質を憂慮。
加えて、「より良い条件を求めて人間が移動することが当たり前になると、経営側も会社を魅力的にしなければ人が集まらない。今、相当そうなってきているが、まだまだ足りない。それをもっと顕著にすることが必要」とより一層流動性が高まることを切望。また、企業側は給料を上げるためには成長が前提にあるものの、「人間は慣れていけば生産性が上がる。だから、自然と(企業も)成長率が上がるが、それをさらに加速させるという意味でも労働市場の流動性は非常に重要」と話していました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag