人手不足が懸念される物流業界の長年の課題“多重下請け”は解決できるのか?

2024.07.15(月)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、運送業者に対する荷主の代金不払い問題について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、運送業者に対する荷主の代金不払い問題について取り上げました。

◆2024年問題に揺れる運送業界…荷主に初の立ち入り検査

公正取引委員会は、商品の荷積みや配送を委託した運送業者に時間外労働賃金分の代金を支払わなかったなどとして、独占禁止法違反の疑いで東京の住宅設備機器販売業者に立ち入り検査しました。

荷主と運送業者の取引は独占禁止法の「物流特殊指定」で規定され、理由のない代金の減額や支払いの遅れなどの行為を禁じています。この規定に基づき、公正取引委員会が法的な強制力を伴う検査を実施したのは初で、トラック運転手の残業規制による2024年問題が懸念されるなか、代金を適切に支払っていなかった悪質な荷主への検査に踏み切った形です。

物流業界にはさまざまな問題があり、そのひとつが“多重下請け”です。業界ピラミッドの一番上には荷主がおり、そこから委託された運送業者、“元請け”と呼ばれる存在がいます。そして、そこからさらに再委託され、2次請け、3次請けと続きます。そうしたなか、物流業界は荷主の立場が大変強いと言われ、運送業者がコストが増えた分の代金の引き上げを求めても「自助努力で解決すべき」と拒否されたり、「協力値引き」と称した一方的な減額などもあるそう。

しかし、一方で物流業界は2024年問題もあり人材不足が深刻化。神奈川県にある運送会社の社長は「給料を引き上げないと人材が集まらない」と嘆いており、価格転嫁や待遇改善を求めるのは難しい状況にあります。

◆物流業界に長年蔓延る問題とは?

こうした問題に対し、microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「(業界内の)横のつながりをどう作るかが大事なんじゃないか」と提案。というのも、どの運送業者も他社の価格を気にするのは当然のことで、そこで横のネットワークを作ることで情報を共有し、業界の健全化を図ります。

視聴者から番組SNSに寄せられた「それは“談合”と言われかねないのでは?」との指摘に、キャスターの堀潤は「まさにそうだが、ソーシャルやパブリックといったキーワードが2次請け、3次請けに入ってくると、談合的な馴れ合いではない協力ができるのではないか」と新たな形を模索します。

「The HEADLINE」編集長の石田健さんも渋谷さんの案は一理あるとしつつ、「もうひとつ加えると、もともと何故こうも2次請け、3次請けが大きくなったかというと、高度経済成長期に規制緩和し、多くの業者が参入することを認めた法改正が非常に大きい。これを逆に考え、多重下請けの構造をなくすには、やはり一定の法・制度によって自制していくことも大事」と法整備の必要性を示唆。

さらには、「例えば、経営統合する事業者を大幅に減税したり、補助金を出すなど、なるべく企業を統合し、競争力の弱い企業を市場から退出させるのではなく、そうしたところもカバーしてあげることが大事」とも。

一方、キャスターの豊崎由里絵は「私たちは“送料無料”になれてしまっているが、下請け(2次請け、3次請け)が送料無料かどうか決められたらいいと思う。荷主から(正式な料金を)もらえている場合は送料無料で、もらえていない場合は送料を取るようなことができればいいと思う」と提案。

関西大学特任教授の深澤真紀さんは「1998年、最初に自分の会社を作ったとき、本当に孫請けなどの仕事が多く、このままでは会社が潰れると思った。(当時)デジタルの分野でも“仁義”や“義理”(といった関係性)があったが、(日本は)そういう空気感がまだあったりする」といまだに古い慣習が残っていることを嘆いていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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