都内では熱中症対策として観光施設を無料開放したり、高齢者の住宅を回る訪問看護のスタッフが注意を呼びかけたりと、暑さから身を守る様々な取り組みが進められています。
7月9日の都内は朝から雲に覆われたものの、気温は昼にかけてグングンと上昇。最高気温は都心で34.5℃、練馬で35℃を超えて猛暑日となるなど、熱中症に警戒が必要な一日となりました。
東京が世界に誇るランドマークでは、新たな暑さ対策も…。
記者:「東京タワー内のクーリングシェルターです。こちらの気温は26℃となっていて大変涼しく、多くの人が休んでいます」
熱中症対策として施設を無料で開放する取り組み「クーリングシェルター」。今月から東京タワーが港区で初めてとなる民間の「クーリングシェルター」に指定され、1階から3階の冷房が効いた空間に休憩用のいすなどが約100席用意されています。
観光客:「屋内のこの場所は(涼しくて)とても気持ちがいいです」「外はとても暑いです。そのためここを利用して涼んでいます」
山﨑真吾広報課長:「東京タワーはやはりランドマークとして、インバウンドの方もそうですけど、観光のお客様の起点となるような施設でございますので、うちで涼んだ後またどこかへ出かけるじゃないですけど、そういった形で観光の拠点としてご活用いただければという風に考えています」
暑さをしのぐ「ひんやりスポット」は都心だけでなく、八王子市・高尾山のふもとでも…。
記者:「このあたりは木々に囲まれていて、都心に比べ比較的涼しいのですが、さらにここ高尾山ふもと公園には、川で水遊びを楽しむことができるスポットが設置されています。川の水も冷たくて気持ちがいいです」
京王線・高尾山口駅前に4月に誕生した「高尾山ふもと公園」では、目の前に流れる案内川の冷たい水で川遊びを楽しめるようになっています。
公園を訪れた人:「子どもと一緒に近場でちょっと涼めそうな所と思って、電車でもすぐ来れるので、じゃぶじゃぶ池もあるし遊びに来ました。結構冷たくて冷える感じでした。とっても」「(Q:お水入ってみてどうでしたか?)冷たかった。楽しかった」「熱中症も心配なんですけど、ここでこうやって水で遊べると安心です」
また山登り後のクールダウンとして利用した人も…。
登山後に公園を訪れた人:「この辺りの山を走って、最後ゴールで川に涼みに来ました。アイシングすると回復にも良いんですけど、それに丁度いいなという感じで入らせてもらってます」
一方、足立区の住宅街では、連日の暑さを受けて訪問看護の事業者が、サービスを受ける高齢者に向けた「熱中症対策の声かけ」を行っています。
事業者によりますと、高齢者は身体の衰えから口の渇きなど体調の変化に気付きづらいため、看護師が訪問の際に適切なエアコンの利用やこまめな水分補給を呼びかけているということです。
看護師:「少し水分摂りましょうか?飲んでからにしません?暑いから。まぁぐぐっと一杯ぐぐっと一杯いっていただいて…」
この日訪問した97歳の男性は、以前、自宅で脱水症状を起こしたことがあり、それ以来、1日に最低1リットルの水を飲むように看護師や家族など周りが注意しているということです。
家族:「水飲まないんですよね自分ひとりでは。(歳を取って)結局自分自身が分からないんですよね、飲みたいっていうのが。身内が言うよりも看護師さんに言われた方が父親にとっては聞いている」
訪問看護施設 西村代表:「6月の半ば前くらいからこの暑さが始まってますから、その時から声かけを徹底してます」
警戒が必要な猛暑は始まったばかり。事業者は熱中症対策として当面、午後や夕方の時間帯にも追加で高齢者の様子を確認する見回りサービスを行っていくということです。
高齢者の熱中症対策について、済生会横浜市東部病院の谷口医師によりますと、高齢者は熱中症の初期症状に気がつかないことが多いため、家族など周りの人が注意することが必要だと指摘しています。具体的には「最低1日1リットルのこまめな水分補給」「最低28℃でのエアコン利用」「1日3食のしっかりとした食事」こういったことを挙げ、本人に働きかけてほしいとすすめています。
続いて気象予報士の中西さんの気象解説です。まだ7月上旬、梅雨も明けていないですが、連日厳しい暑さになっています。7月に入ってからの最高気温と熱中症による救急搬送の人数をみていくと、気温が高くなると同時に、熱中症の救急搬送者数も増加。特に気温が35℃前後になると急増しています。
猛暑が続くと、暑さによる疲れが溜まったり、夜も寝苦しくて寝不足になったりと、体調面でも熱中症のリスクが高くなります。7月に入ってから、熱中症により6人の死亡が確認されています。
そして熱中症というと、屋外で発生するイメージが強いと思うが、実は屋内で多く発生しています。東京消防庁によると、去年6~9月で熱中症の発生場所が最も多かったのは家の中。全体の約4割を占めています。屋内だと汗をかいていることに気がつきにくかったり、喉の渇きを感じにくく、水分不足になってしまうことも。
「屋内でもできる熱中症対策」、確認していきましょう。
①こまめな水分補給。喉が乾いていなくても飲む。すぐ手の届くところに飲み物を。
②室温と湿度を気にすること。湿度が高いとより熱中症の危険度が増す。冷房の除湿機能を活用して。
③生活リズムを整える睡眠不足や栄養不足も熱中症の危険度を高める。体調を管理することは熱中症予防にも繋がる。
④互いに気にかける特に、高齢者のいる家庭では、家族や近所の人などが互いに気にかけることも大切。
本格的な夏はこれから。熱中症対策を万全に、暑さを乗り切りましょう。
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