TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、“育成就労制度”について取り上げました。
◆“技能実習”から“育成就労制度”へ
技能実習に代わり、外国人の人材を受け入れる新たな制度「育成就労制度」の創設に向け、入管難民法などの改正案の質疑が参議院法務委員会で行われました。改正案は人手不足の分野における人材育成・確保を目的とし、長期の就労を促します。「外国人の受け入れが増加することは移民政策ではないのか」という野党の指摘に対し、岸田首相は「無期限の在留を認めるものではない」とした上で「移民政策につながるものではない」と強調しています。
現行の“技能実習”と“育成就労”を比較してみると、目的は前者が「人材育成による国際貢献」としているのに対し、後者は「外国人材の確保・育成」となっています。また、期間は「最長5年」から「3年」に。本人の意向で別の職場に移る転籍については、技能実習は原則不可だったところ、育成就労は一定の条件を満たせば就労から最長2年で転籍が可能になります。そして、管理団体については技能実習では不適正な受け入れなどが発生していたことなどから新たに管理支援機関を設置し、支援や保護を強化するとしています。
◆「育成就労」に対する識者の見解は?
この育成就労に対し、株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは、率直に「僕はいいなと思う」と言います。そして、「特徴は、(期間を)“最長”としていないところで、技能実習だと5年までだったが、育成就労は特定技能1号、2号と進化していける。能力があったり、一定の条件を満たせば長期間働ける」と語り、さらには「企業側にもメリットがある。すぐに帰国してしまう人を育てても仕方ないので、そういった意味では、外国人労働者が人手不足を解消していくという文脈のなかで課題を解決するために出てきた制度」と評価します。
コラムニストの河崎環さんも肯定的で、「今まで我々が見てきた技能実習にまつわる人権侵害のさまざまなケースに対し、それら全てを解決するための項目で、全てにおいて安定的な運用ができることにフォーカスして焼き直していると感じた」と印象を語ります。
一方でジャーナリストの春川正明さんは、「国際貢献という技能実習制度の本音と建前が外れたのは評価してもいい」としつつ、根本的な問題として「移民政策自体を国家で議論すべき」と訴えます。
この意見にキャスターの堀潤も賛同し、なおかつ制度面において海外から日本の労働力を補ってもらうために来てもらっているにも関わらず、彼らの職業選択が不自由なことなどを憂慮。
春川さんも「制度として少しはマシになったと思うが、そもそもやってくる外国人からすれば、使い捨てにされるんじゃないかというところは変わっていない」と懸念します。
こうした意見に、古井さんは「確かにそうした部分は技能実習制度では欠けていた」としたうえで「働きに来る外国人もいまや日本を選ばなくてもいい時代になっているにも関わらず、どうしても『日本に来させてやっている』という思想が見え隠れしている」との指摘も。
キャスターの豊崎由里絵は「(育成就労の目的は)家族も来てはいけないし、1~2年就労し、最後の1年だけ違う職業に就いていいと言われて、その国に行きたいかと言われたら、私は行きたいと思わない」と言い、「せっかく来てもらうのであれば『日本に来てよかった』と思われる制度であってほしい」と望んでいました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag
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