客足減少…自由が丘の商店街 空き店舗活用でにぎわい再び

2024.05.27(月)

10:30

『13.59%』、この数字は「全国の商店街の空き店舗の割合」です。近年、大型商業施設の人気などで客足が伸びず苦しい営業を続けている商店街がいま抱える悩み、そして再起を懸けて始めた取り組みを取材しました。

『13.59%』、この数字は「全国の商店街の空き店舗の割合」です。近年、大型商業施設の人気などで客足が伸びず苦しい営業を続けている商店街がいま抱える悩み、そして再起を懸けて始めた取り組みを取材しました。

東京・目黒区の自由が丘駅から徒歩1分の場所にある商店街「自由が丘ひかり街」。真っすぐ伸びる通路の脇には個性的な店が連なり、地元の人の憩いの場所となっています。戦後、トタン屋根の個人商店が並ぶいわゆる闇市として始まったこの商店街は、時代とともに形を変えながら、70年以上、人情味あふれる商店街として愛され続けてきました。

しかし、商店街の専務理事を務める仙波剛さんは近年、その状況に陰りが見えてきたとして「コロナ禍以降、空き店舗が埋められない状況が続いている。コロナ禍前までは空き店舗が発生してもそれなりには埋まっていた。やはり自由が丘というネームバリューがあったと思うが、コロナ禍以降は様変わりした。皆さん不安に思っている」といいます。

この商店街の1階には全部で46店舗分のスペースがありますが、現在はそのうち11店舗分=約4分の1が空き店舗となっています。祖父の代から3世代で総菜店「自由が丘 味よし」を営む藤田純一さんも、危機感を感じている一人です。藤田さんは「コロナになってからお店もどんどん辞めていったし、お年寄りも来なくなっちゃった。コロナの前は空き店舗が2店舗ぐらいだったと思う。そういう意味では商売のやり方も少しずつ変わってきていると思う」と話します。

さらに現在、自由が丘駅前では2026年度に工事が完了する予定の大規模な再開発が行われていて、大型商業施設の完成で「さらに客足が遠のくのではないか」と不安を感じている人も多いといいます。

そこで、この商店街では去年から「空き店舗」を活用した新たな取り組みを始めました。商店街が行っているのは“空き店舗の短期間の貸し出し”です。商店街にとっては空き店舗が埋まることで商店街のイメージアップや活気につながり、新たな客層の取り込みにも期待できます。

新店舗には新規客だけでなく常連客が楽しむ様子が見られました。カウンターワークスの中原祐一郎さんは「スペースを貸し出す側からすると『ここ、誰も借りないでしょ』と思う場所も、1日から借りられるという条件が付けば、可能性は出店者が示してくれることも多い」と話します。

また出店する側にもメリットがあるといいます。出店者の「F Coffee Roasters」高橋文哉代表は「駅から近い、自由が丘というブランド、老舗の人と販売できる、というのが大きなメリット」といい、出店する事業者からは新規出店するリスクを抑えながら明確なターゲットに向けて手軽に店を出せることがメリットになると話しました。

空き店舗の活用は、古き良き文化を残しつつ、商店街に新たな風を吹き込んでいるようです。自由が丘ひかり街の仙波専務理事は「若い人もたくさん集まってきたし、普段この商店街を通らない人の集客もあったと感じている。既存のテナントと新しく紹介された店舗と一緒に、新しいスタイルの物販を探っていきたい」と話しています。

 

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