TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、災害時などにおける“コンパッション”による支援について取り上げました。

◆“コンパッション”とは?
今回、キャスターの堀潤が取材したのは、サークル「コンパッションを考える若者の会」を立ち上げ、その代表として人と人をつなげて街を元気にする活動を行っている宮城県・多賀城市在住の看護師・伊藤明日香さん(28歳)。
“コンパッション”とは、直訳すると“思いやり”という意味で、困難な状況にいる人などの気持ちを共有し、理解するという考え方のこと。
伊藤さんは「若い人たちがもっと声をかけあって、協力し合うことで何かもっとより良い地域につながると考えて声を上げた」とサークルを立ち上げた経緯を語ります。
そもそも伊藤さんがコンパッションを意識した理由は、過去の経験にあります。それは中学2年生のときに病気で父親を亡くしたこと、そして中学3年生で被災した東日本大震災です。「あのとき、もっと早くコンパッションのことを知っていたらよかったなって数年後にわかった。父との別れと震災の経験から、死は必ず訪れるのに、なぜもっと学び合えない、語り合えない状況が続いているんだろうと疑問に思って、そこをコンパッションという言葉がフォローしてくれた。対話の場や哲学カフェみたいな場で本音を話せる、そして助け合う関係ができるような状態が必要なんじゃないかと、コンパッションに魅せられて行動している」と言います。
そんな伊藤さんは、能登半島地震の被災者支援にもコンパッションの考えが活かせるのではないかと示唆。「オンラインで人と人をつなげて、『こういう考え方もあるよ』と伝えたり、何かすることでその先の人が楽になったりするのであれば嬉しい。日本はとても災害が多いので、その教訓を『次に活かそう』という気持ちだったり、経験としてあるものを活かすことで、それぞれの形で立ち直っていく力はあると思う。(今後は)そこにみんな希望を見出していくんじゃないか」と指摘します。
◆被災者だけでなく、自分のためにも大事
「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、同世代の伊藤さんの話を聞き、「本当に大事なことだと思う」と共感しつつ、「死に直面したときのケア、グリーフケアは自治体によっても予算の有無など全然違うので、そこが大事になってくるといいなと思う」と願います。
堀が「こういう支え方があるんだと感激した」と話すと、キャスターの豊崎由里絵も「(日本では)小さい頃、我慢強いことはいいことだとよく褒められるけれど、彼女の話を聞いていてどこかでそれを変えるタイミングがないといけないんだなと思ったし、それを率先して行動されているのは本当に素晴らしいと思う」と伊藤さんを絶賛。
そして、脳科学者の茂木健一郎さんは「脳科学の研究で“利他”と“利己”は一致している。つまり、他人のつらさや苦しみなどを聞き、何かその方のためにしてあげることが脳のなかでは嬉しい・楽しいということと同じ活動が起こっている。なので、コンパッションというのは自分自身のためでもあると僕は思う」と脳科学の観点からコンパッションの良さ、重要性を解説。さらには、「これを広げていくことは素晴らしいこと。日本がより安全に、そして頼もしい国になるためには必要」とも。
また、経済ジャーナリストの荻原博子さんは、東日本大震災後に現地に赴いた際、地域の住民みんなが被災しているなか、自分ひとりが不満を言ってはいけないという風潮を感じたと回顧。そうした不満のはけ口がない状況をこのコンパッションで改善できるのではないか、「もっと皆さん気持ちを楽にできるんじゃないか」と期待を寄せます。
伊藤さんら民間がコンパッションを広げていく一方で、行政は何をすべきなのか。堀が意見を求めると「最初の生活保障の部分だと思う」と能條さん。加えて、「東日本大震災のときもそれが全然足りなかったと思うので、そういった行政にしかできないことを行政がしてほしい」と切望していました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag