能登半島地震から1カ月半 都内の「災害廃棄物」対策は

2024.02.20(火)

11:00

能登半島地震の被災地で復旧・復興への足かせとなっているのが災害廃棄物です。災害廃棄物を巡っては、東日本大震災を受け、作成された報告書に仮置き場を事前に設置しなかったことによる弊害が挙げられました。今回、番組が23区を取材したところ、多くの自治体で仮置き場を決めていないことが分かりました。

能登半島地震の被災地で復旧・復興への足かせとなっているのが災害廃棄物です。災害廃棄物を巡っては、東日本大震災を受け、作成された報告書に仮置き場を事前に設置しなかったことによる弊害が挙げられました。今回、番組が23区を取材したところ、多くの自治体で仮置き場を決めていないことが分かりました。

今回の地震により全壊、半壊、合わせて一万棟以上の住宅が被害にあった石川県珠洲市。排出される災害廃棄物は推計で58万トンにのぼり、市で出るごみの年間排出量に換算すると132年分に相当します。地震発生から1カ月、珠洲市ではようやく廃棄物の仮置き場が設置されました。

珠洲泉谷市長:「片付かないと次を考えられない部分もあると思うので、全壊した住宅の解体撤去に至るまでには時間がかかると思うが、とりあえず道路を片づける、通りやすくするということを迅速に進めていきたい」

仮置き場への道路の損壊が激しく、開設に時間がかかったといいます。

隣接する輪島市でも、道路脇には災害廃棄物が並んでいました。輪島市では事前に災害廃棄物の処理計画を策定しておらず、今回、発災後に石川県と仮置き場の場所を調整したということです。

仮置き場の設置を巡っては、13年前の東日本大震災の教訓が残されています。環境省がまとめた報告書では、事前に計画を策定していなかった自治体では処理体制の立ち上げに遅れが生じたことや、応急的に場所の選定が進められ、分別されず積みあがった廃棄物から火災が発生したことが記されています。

一方、処理計画を策定し廃棄物の仮置き場を決めていた仙台市では、早期に分別の徹底や市民への周知が行われ、処理がスムーズに進められたということです。

いつ発生するか分からない大災害に備え、必要な処理計画。都内23区の自治体を取材すると処理計画そのものは存在しますが、廃棄物の仮置き場については対応が分かれました。

首都直下地震が発生した場合、想定される廃棄物に対する仮置き場を決めているか聞いたところ、未定が9、一部決めていると答えた自治体が11、全ておける面積を候補地として確保しているところは3区のみとなりました。

都内で最も多い、約300カ所を仮置き場の候補地として決めている足立区を訪ねました。

田中記者:「こちらの少年野球場が仮置き場に指定されています」

ほかにも一定の広さが確保できる区立公園などが検討されています。

足立区担当者:「我々もこれだけがれきが出る事を区民に知ってもらいたい。事が起きたときにすぐ動ける体制を構築したい思いで公表に至ったと聞いている」

ここからは取材にあたった田中記者とお伝えします。都内の自治体は災害廃棄物の仮置き場を決められていないところも多いんですね。

田中記者:「首都直下地震で出るとされる全ての廃棄物を置けると想定して候補地を確保しているのは3つの自治体しかないんです。そして一部指定しているとしているのが11の自治体です。ただこの中の区には公園1つしか決めておらず、単純計算で必要な面積の4割程しか確保していない自治体もありました」

東京は土地が少ないというのが課題ですよね。

田中記者:「区の担当者から多く聞かれたのが「ある程度の面積を取れる場所が本当に少ない」という声です。これは23区特有の事情かもしれません。公園が少ないという事情は都心部ならではですが、ほかにも区の担当者からは、「具体的に詰め切れていないのが現状」という正直な声や、廃棄物を置くということから「区民からの不安の声や地価が下落することを懸念している」という区役所の事情も見えてきました。発災時自治体はどうするのか事前に決めて住民と話し合っておくことが、安心につながるのではと感じました」

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