TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、台湾のファクトチェック機関の現状を取り上げました。
◆台湾でフェイクニュースを見抜く「Cofacts」
世界でデジタル化が進むと同時に“認知戦”の比重が高まっています。特に台湾では2024年1月の「中華民国総統選挙(総統選)」を前に、中国から認知戦が仕掛けられ、極めて苛烈な状況です。そんななか、今回はキャスターの堀潤が、その攻防戦の最前線にいる台湾人、ビリオンさんとジョンソンさんを取材しました。
2人は台湾で市民ファクトチェック機関「Cofacts」を運営しており、市民から寄せられる怪しいニュースを日々解析してフェイクニュースかどうかを公表しています。CofactsはWebサイトから誰でも情報提供や解析結果の閲覧ができ、政府にも活用されています。
まずビリオンさんが堀に見せてくれたのは台湾の現総統・蔡英文氏が女性の軍人を増やすと発表をしたというフェイクニュース。そして、「選挙前には政治関連の情報が40%増加し半分近くに達します。実際にお金には限りがあるので、宣伝の効率化を図るなら選挙直前にばら撒かなくてはならないということ。悪意のある第三者にとってこれは最も効果的です」と分析結果を紹介します。
ビリオンさんらはフェイクニュースをただ分析するのではなく、公開されたタイミングから相手の狙いなどを推測しているそうで、例えば選挙前に大量に作られたという病院に入院している男の動画に対しては、「今の政権に任せていたら台湾の治安が悪くなると有権者に無意識に思わせる目的がある」と指摘します。
認知戦の防衛最前線にいるビリオンさんですが、「(最前線で闘っているのは)私たち2人だけではありません」と言います。なぜなら「みんながそれぞれ最前線に当事者として立っています。誰も部外者ではないのです」と話していました。
◆フェイクニュース対策は世界の協力が必要
堀は認知戦の怖さに関して、受け取った情報に煽られるような形で選挙投票など「行動に移ってしまうところ」と言います。そして、「これは台湾の話だけじゃない」とも。
事実、Cofactsは現在、世界への発信を強化しており、「台湾が(中国から)仕掛けられている認知戦に抗うためには、海外の皆さんの協力が必要だと言っている」と堀。なぜなら情報は海外にも発信されるから。例えば、「蔡英文はひどい政治をしている」と世界中に嘘のニュースを拡散することで国際的な世論を作り、そこから台湾を変えることも不可能ではありません。
Cofactsは世界中の人々に呼びかけ、同時に自国では高齢者向けに情報提供したり、リテラシー教育の向上を図るなど、グローバルな視点を持ちつつ草の根活動もしっかりと行い、フェイクニュースを見破っていく努力を日々行っているそうです。
国際社会文化学者のカン ハンナさんは、「SNS上とかでもフェイクニュースがものすごく多くなっていて、それが世論を作ってしまう。それを調査する人たちがいるということはとてもいいことだと思う」とCofactsの活動を称賛。
ジャーナリストの春川正明さんは、先日、ロシアのフェイクニュースに関する専門家に話を聞く機会があり、その際に聞いたこととして「今はフェイクニュースもほとんど真実を書き、そこに少しだけフェイクを入れている。だから(みんな)信じるんだと言っていた。フェイクニュースというと見た瞬間にウソとわかると思いがちだが今はそうじゃない。ものすごく悪質」とフェイクニュースの進化を危惧します。
国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは、世界のフェイクニュースへの対応に言及。欧米ではオランダを本拠に置く「べリングキャット」のような調査報道機関が長年フェイクニュース対策を講じ、人々は少しずつ免疫ができてきたそうですが、まだまだ課題は山積。
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「問題は二段階あり、日頃の免疫の強さもあるが、例えばガザの空爆などの痛ましい映像が出たときに、(ガザのことを)あまり知らない人たちは目の前の情報に反応してそこに書かれた注釈を100%信じる傾向がある。そこが問題で、我々が冷静でいられない事態が起きたときに、それでも自分たちで冷静に戻っていく技能を身につけることが課題」と訴えていました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag
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