パレスチナと日本がルーツのアーティストがラップに込めた平和への思い「平和って当たり前じゃない」

2023.12.06(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。11月21日(火)放送の「New global」のコーナーでは、パレスチナと日本にルーツを持つ18歳のラッパー・DANNY JINさんへのインタビューの模様を紹介しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。11月21日(火)放送の「New global」のコーナーでは、パレスチナと日本にルーツを持つ18歳のラッパー・DANNY JINさんへのインタビューの模様を紹介しました。

◆パレスチナと日本がルーツのラッパーが平和を願い楽曲制作

パレスチナ人の父親と日本人の母親の間に生まれたJINさん。今年ラッパーとしてデビューし、10月には平和への願いを込めた楽曲「WAR & DEATH」を発表しました。

本作についてJINさんは「人が殺される、人が死ぬっていうのは僕の人生の経験上、一番悲しいことで、(世界は)他人の死に対してどうでもいいと思っているのかなって感じちゃって」と制作時の思いを吐露。

さらには、「日本も他の国もそうですけど、『自分や自分の身内が死なないから大丈夫』ってわけじゃないと思うんですよ。そういう社会を許していたら、いつ自分たちにその番が回ってくるかわからないし。『人が死ぬってことの重大さについてもっと理解しようよ』っていう憤りや怒りとかっていうのがありました」とも。

JINさんは、この楽曲・ラップを通じて将来の日本を支える世代にパレスチナへの関心を持ってほしいと切望します。「『パレスチナとのハーフなんだよね』って言っても『パレスチナって聞いたことない』とか『パレスチナってどこ?』とか、やっぱりパレスチナ問題は知らないんだなって(失望する)」と嘆き、その上で「無関心って一番駄目だと思うんです。ヒップホップっていう僕が大好きなカルチャーを通してこれを(若者に)伝えたい。パレスチナ人だから伝えられることって絶対にあると思う」と語ります。

また、「ニュースを見ることが日常的じゃない人もいるなかで、その人たちも毎日音楽を聴いたり、好きなコンテンツを楽しむわけで、(音楽に)僕の気持ちとか(パレスチナ)問題を入れることで変わるんじゃないかなと思う」と人々の関心を惹きつけるためにも“音楽”の力が必要だと訴えます。

そして最後に世界の人々へのメッセージも。「本当にこんな世界でいいのかなって。自分たちが良ければいいじゃなくて、『平和について1回考えてみない?』って。『平和って当たり前じゃないんだよ』って」と素直な思いを明かしてくれました。

JINさんはX(旧Twitter)経由でキャスターの堀潤に連絡し、一緒に楽曲を発信してもらえないかと協力を求めたそうで、それをきっかけに今回のインタビューが実現。堀は「彼はやらなければいけないことがあると言っていた」とそのときのやり取りを振り返ります。なお、現在JINさんはラップの賞レースで勝ち抜き、そこで得た賞金を寄付しようと日々奮闘しているそうです。

◆インタビューした堀潤が印象に残った言葉とは?

堀は、JINさんへのインタビューで印象に残っていることとして挙げたのは「どこかの不条理を放置しておくと、それは結局自分のところに跳ね返ってくる。だから、どこかで起きている不条理に対して、当事者として声を上げてほしい」と話していたこと。

「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、JINさんの楽曲「WAR & DEATH」にある“繰り返すホロコースト”というリリックが心に響いたそうで、「今、パレスチナ、ガザで起きていることはまさにそうなんだということを当然ニュースなどで観て思っていたが、パレスチナにルーツを持つ同世代に言われるとハッとするものがある」と率直な感想を口にします。

JINさんはパレスチナにルーツを持つものの、日本生まれで国籍も日本。日本人という観点で話を伺うと、かつて広島や長崎で起きた悲劇に思いを馳せ、80年前に日本が経験したことが今ガザで起きていると話をしていたそうで、堀は「私たち自身、歴史を繰り返さないためにも自分の足元の歴史を知るべきだということを伝えていきたいと言っていた」と回顧。

現状、日本では音楽や芸術と政治は切り離して考えられる傾向が強いものの、タレントのREINAさんは「世界的、歴史的に見ても、芸術と社会は密接に関わっている」と指摘。さらには「芸術には戦争を止める力はないかもしれないが、何かしらのメッセージを発信したり、今回のような危機が起きたときに、改めて人間性とは何か考えさせられたり、人と人を結びつける重要な役割とパワーがあると思う」と持論を述べます。

哲学者で津田塾大学教授の萱野稔人さんは、「日本にパレスチナにルーツを持つ方が住んでいることがまず大事だと思う」と主張。というのも、身近にそうした方がいることで世界が地続きであること、パレスチナ人と繋がっていることがわかるからで、その距離感こそ大事だと声を大にします。さらに、パレスチナにルーツがある人がいれば、一方でイスラエルにルーツを持つ人もいるとし、「双方がそれぞれの正義を主張しているなかで、まず目の前の危機を回避するためにはどうしたらいいのか。彼らの存在からそうした問題設定を我々がする必要がある」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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