府中刑務所で11月3日、地域住民に理解を深めてもらい社会を明るくする運動の一環として「府中刑務所文化祭」が行われました。府中刑務所内で受刑者によって作られた木工品をはじめ、長野刑務所や岐阜刑務所など全国各地の受刑者によって作られた製品が販売されました。
記者:「4年ぶりに開催となった府中刑務所の文化祭。会場にはいたるところで行列ができています」
会場内で一際人気を集めていたのが、受刑者が手作りして普段から刑務所内でも食べているコッペパンです。パンを焼くことができる設備を持つ刑務所は珍しく、受刑者が作るおいしいパンとして口コミが広まり、1時間ほどで用意された1300本が完売しました。
そしてお弁当コーナーで売られていたのは、刑務所の中で提供されるカレーのレシピをもとに作られた「プリズンカレー」です。受刑者がどのような食事をとっているのか、料理を通じて所内の生活を知ることができます。
さらに、刑務所をより深く理解してもらうイベントもありました。一般の人は文化祭の時しか入ることができない所内を、見て回るツアーです。受刑者が木材や革などを加工する工場や体育館などを徒歩で見学。参加した人たちは、刑務所に対するイメージが変わったと話します。
見学者:「ちゃんときれいに整備されていて、そんなにどんよりしている感じじゃないというか、罰を与えられている場所というよりは、ここで更生するするんだなというところなんだなと思いました」「身近な場所ではないので、なおさら来て子どもにも刺激になるだろうし、こういう人がこういう生活をしているんだよというのが知ることができて、勉強になったと思う」
府中刑務所は、受刑者が二度と犯罪に手を染めないためには、地域や社会の協力が不可欠でその世界を知ってもらうためにも、文化祭の開催は大きな意義があるとしています。
府中刑務所 白川所長:「受刑者の再犯防止に取り組んでおりますが、やはりそれには地域の方々をはじめとして、社会の方々のご理解ご協力ご支援がなければ、そういったことは前に進まない。こういった形で地域の方々をはじめ、刑務所のことを理解していただけるという機会ができたと思っている」
再犯をどう防いでいくかが課題ということですが、全国的に再犯者率は、高止まりが続いています。全体の検挙者数が、2004年の約39万人をピークに減少する中で、再犯者も2006年の約15万人のピークに減少はしていますが、初犯数の減少ほどではなく、再犯者の割合は、2021年で48.6%と、受刑者の2人に1人が再犯者となっています。
この要因となっているのが、出所者の「就労」と「住居」の問題です。働きたくても雇ってもらえず、お金がなくなり、また犯罪に手を染めてしまうという負の連鎖を断ち切ろうと、始まったプロジェクトもあります。
それが2013年に日本財団が始めた「職親プロジェクト」です。出所者と企業をつなぐ取り組みで、発足時は加盟する企業が7社でしたが、今年8月末時点で、加盟企業が326社まで拡大しています。また法務省も、出所者を採用した企業に、毎月最大で8万円の奨励金を支給する制度などを行っています。
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