外環道の地下トンネル工事を原因とした陥没事故。3年が経ち、地盤の補修工事は始まっていますが、街の姿は大きく変貌をしていて、住民からは街の未来を憂う声が聞こえてきました。
記者:「3年前に道路が陥没した現場です。周辺の住宅は白い囲いで覆われ、家屋の解体工事が進んでいます」
10月18日午前、調布市の住宅街を訪れると、道路が陥没した付近で地盤の補修工事とともに家屋の解体作業が進んでいました。
2020年10月18日、調布市の住宅街で道が陥没しているのが発見されました。原因は東日本高速道路などによる外環道の地下トンネルの工事とみられていて、陥没した区間での工事は現在でも中断されています。
それから3年。陥没した道路がある住宅街では、8月から地盤の補修工事が始まりました。この工事は計画では、トンネルの真上の幅16メートル、長さ220メートルの範囲に、セメントと水の混合液を入れていく予定で、完了まで2年ほどかかる見込みです。また、この周辺では補修工事のため30の家屋の解体が進められていて、一部の家屋ではすでに転居しているということです。
道路陥没の影響で変貌を遂げた住宅街。3年目を迎えた18日も、近隣住民から不安の声が聞こえてきました。
近隣住民:「とにかくこれを見たら異様ですよね、全部家がなくなっちゃって。そういうのでは落ち着かない」「不安は残りますよね、今後ここに住んでいて大丈夫なのか」
地元の住民団体の丸山さんは、この土地で40年以上を過ごしていますが、河川が変貌した様子を見て「この3年間で街は変わった」と憤りを露わにしました。
外環被害住民連絡会・調布 丸山重威さん:「だってこんなこと失敗しなければやる必要がないんだから、そうでしょ。かわいそうですよ本当に、普通の川だったのに」
一方で、丸山さんは家屋の解体が進んだことで「地域の住民たちが分断された」と漏らしていました。
外環被害住民連絡会・調布 丸山重威さん:「街の将来を考えたら本当ね。これがなくなったらどういう街になるんだろうね。僕は分からない、本当に」
長さ、そして深さ共に約5メートルという巨大な穴が突如、住宅街で空いてから10月18日で3年となりました。陥没事故の現場となったのは、京王線つつじヶ丘駅の南東約400メートルの閑静な住宅街でした。陥没の原因は真下の地下で行なわれていた、約16キロにわたる外郭環状道路のトンネル工事でした。現在も一部区間で工事が中止となっているこの問題について、改めて経緯をみていきます。
多くの周辺住民に不安を与えた事故から2ヵ月後、東日本高速道路はトンネル工事と事故について「因果関係を認めざるを得ない住民にお詫びする」と謝罪しました。そして2021年3月、(東日本高速道路の)有識者委員会は陥没原因について、土砂を過剰に取り込み地盤が緩んだと結論付け、陥没付近の地盤補修は2年程度かかると発表しました。
事故から約1年半、去年2月、周辺住民らがトンネル工事の差し止めを求めた仮処分で東京地裁は「陥没が生じる恐れがある」として、陥没現場を含む約9キロの区間の工事中止を命じ、現在も工事は止まったままとなっています。そして今年8月、陥没現場周辺220メートルを対象に地盤補修工事が始まりました。この補修工事を巡っては、近隣の家屋約30軒を対象に移転や解体が進められ、作業が行なわれています。
今後の対応について東日本高速道路はTOKYO MXの取材に対し、「住民の皆様の不安解消に努めていくとともに、責任を持って工事を実施してまいります」と回答しています。まだ、一部区間のトンネル工事の再開メドは立っていません。補修工事による安全対策、そして2度とこのような事故が起きないよう、再発防止策が求められます。
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