西多摩郡の日の出町の話題です。日の出町は都心から50キロほど、車で約1時間半の位置にあります。この日の出町で長年、親しまれ、惜しまれつつも引退した国内で唯一のトレーラーバス「SL青春号」が町おこしのため、復活しました。取り組みをけん引するのは、地域で愛される「スーパーカー焼き芋」の名物店主です。
レインコートに身を包んだ子どもたちが見つめる先にあるのは、SL機関車の形をした大型のトレーラーバスです。特製の切符を見せて、乗り込んでいく子どもたち。出発すると、バスの車窓から見える景色に興味津々です。
子どもたち:「じいじとばあばんちだ」「ここどこよ」「あそこ、看板だ」
子どもたちに日の出町の歴史を知ってもらおうと、かつての鉄道の跡地など町内の名所を巡るこのバスは、「青春号」と名付けられ、地域の人に愛されてきました。
牽引する車がトレーラーを引っ張る、国内で唯一「トレーラーバス」として知られる青春号。15年以上にわたり、町の温浴施設と駅を結ぶ路線バスとして、多くの町民を運んできましたが、老朽化のため、今年3月に路線バスを引退しました。その後、売却にむけて日の出町が活用法を公募した結果、町内で自動車工場を営む原田さんたちが入札しました。
原田さん:「日の出町ってあんまりこれだってものがないっていうのがひとつ。機関車バスって日本に1台しかなくて、日の出のシンボル的なものだったから。街おこしだったり、子どもとかお年寄りに喜んでもらうことができれば、このバスも第二の人生を喜ぶんじゃないかなと」
実はこちらの原田さん、地元では「別の顔」で知られています。原田さんは5年ほど前から、真っ赤なフェラーリで石焼き芋を販売する、「スーパーカー焼き芋」の「名物店主」として、地域の評判を呼んでいるんです。石焼き芋の窯を引っ張るスーパーカー焼き芋と、トレーラーバスには共通点があると原田さんは話します。
原田さん:「スーパーカー焼き芋もトレーラーも牽引している、これ(青春号)もどちらもけん引している。そのつながりはこのバスからヒントを得たのかもしれないですね。(日の出町も牽引していくということか?)できればね、みなさんのお力で、このバスと一緒に街おこし、西多摩おこしで、牽引できたらいいなと思ってます」
この日、街をめぐる青春号が訪れたのは老人ホームでした。子どもたちは、高齢者が交流するなど名所だけでなく「人とのふれあい」を通じて、日の出町の魅力をより深く感じていました。
原田さん:「きょうは楽しかったですか?このバスもね、喜んでると思いますよ。きょうはありがとうございました」
子どもたちの笑顔を乗せて、日の出町を引っ張っていく青春号。「第2の青春」、出発進行!
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