TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、今年2月に大地震が発生したシリアの瓦礫に描かれた「はだしのゲン」について取り上げました。

◆はだしのゲンがシリアの人々の希望に…
今年2月6日、トルコ・シリア大地震が発生。両国合わせて5万7,000人以上が死亡し、今も復興・復旧作業が懸命に行われていますが、現在は夏になり気温が上昇。感染症の流行が懸念されています。そして、内戦が続くシリアでは空爆も続いており、未だ復興に向けての取り組みが必要な状況です。
そうしたなか、広島市内のギャラリーでは8月4日~6日にかけて、瓦礫を使ってアートを生み出すシリアのアーティスト集団「希望の筆」の取り組みを紹介する写真展が開催。
そこで注目を集めていたのは、日本の漫画「はだしのゲン」。ゲンが倒壊した住宅から家族を助け出そうとする場面など象徴的なシーンが瓦礫に描かれています。
この写真展を主催したシリア人ジャーナリストのエルカシュ・ナジーブさんに話を聞くと、「(最初は)凄まじい破壊の場面にしようという話だったが、あえてゲンが頑張って家族を救おうとしている(場面にした)。かわいそうとかこんなに破壊されたとかそういう話ではなく、努力している、諦めていないというのが、すごく現地の人たちにとっては重要ですね」と必死に生き抜くゲンの姿が現地の人に勇気を与えているそう。
取材したキャスターの堀潤は「はだしのゲン」は広島での被爆体験を描いただけではなく「家族のために諦めないで奮闘しているという復興に向けての人々の強さみたいなことを伝えられる漫画でもあるということを逆に学んだ」と感心すると、ナジーブさんは「それがすごく大事」と話します。
そして、「日本は戦後、アメリカが入って復興が始まった。でも、シリアは地震の後も空爆が続き、これからどうなるかわからない。彼らは世界が平和になってから復興というのを待てない。だから今、その状況のなかでできることをやらないといけないし、だから一生懸命」とシリアの人々の思いを代弁。
さらには、「広島に来て、例えば、平和記念資料館を見るとどういう人間でも人生で岐路的な日になると思う。それ以降は戦争を違う目で見ると思う。その後、夜になったら広島の繁華街でお好み焼きやおいしいものを食べる。広島の悲しい部分だけでなく、良い部分も体験する、それは最高。だから、私はいつか平和になったシリアに行って、何か戦争とかのミュージアムに行って、おいしいオリーブを食べてほしい。そういうコンビネーションは今、残念ながらシリアではできていないが、いつか……」と平和を強く望むナジーブさん。
Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、ナジーブさんの言葉に感銘を受けつつ、「今、核を使うか使わないか、抑止力なのかどうなのかという議論がされているなかで、この漫画がどういう世界に希望を抱くのかというメッセージになると思うと、やはり平和教育の教材として残し続ける必要性、戦争を知らない世代が目に触れる機会を日本でも大切にしていかないといけないと思った」と「はだしのゲン」が今年、広島市立小中高校の平和教材から削除されたことを悔やみます。
黒部さんの意見に、現役保育士のてぃ先生も同意。その上で「この漫画はみんな小学生の頃とかに読んでいると思う。小学生の価値観、感性で読む場合と大人になって、いろいろなものを知ってから読むのだと受け取り方は変わる気がする。だから、そういう意味ではこうしたことを経て、改めて読んでみるのも必要だと思う」と自身の見解を示します。
キャスターの豊崎由里絵はナジーブさんの「(平和記念資料館を見ると」どういう人間でも人生で岐路的な日になると思う」という言葉が印象に残っているそうで、「そうした言葉が日本人じゃない方から出てくるというのが嬉しくもあり、私たちもそれを心に留め置かなければいけないと思った」と感想を口にしていました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag