「100年先も安心できる東京」へ 東京強靭化プロジェクト 進む災害対策

2023.08.15(火)

10:50

いつ起こるか分からない災害に備え東京都が今年度から進めているのが、「東京強靭化プロジェクト」です。2040年代までに災害に強い街をつくる計画で、「100年先も安心できる東京」を目指しています。都内で進む「強靱化」の現場にカメラが入りました。

いつ起こるか分からない災害に備え東京都が今年度から進めているのが、「東京強靭化プロジェクト」です。2040年代までに災害に強い街をつくる計画で、「100年先も安心できる東京」を目指しています。都内で進む「強靱化」の現場にカメラが入りました。

記者:「まさにこの目の前で巨大な機械が稼働していて、すごい音で掘削が行われています」

中野区の地下40メートルで進むのがトンネル式の地下調節池の工事です。調節池は、台風などの大雨の際に増水した河川などが氾濫しないよう、水をためることで水害を防いでくれます。そして現在、東京都が強靭化プロジェクトの一環として、5.4キロ離れた2つの調節池の連結を進めています。

担当者:「この場所はトンネルを新たに掘っているところと、今までに作って運用している調節池のちょうど境目」

練馬区の調節池と、中野区などに伸びる調節池をつなぐ工事は現在、5.4キロのうち600メートルほど掘り進んでいて、2025年12月の稼働開始を目指しています。2つの調節池がつながると、全長13.1キロの国内最大の調節池が完成。これにより、140万立方メートル以上の水が貯められるようになります。これは25メートルプールの水4800杯分に相当し、1時間に100ミリの集中豪雨にも対応できるようになるということです。

そして水害への対策は調節池以外にも。こちらは江東区辰己にある高潮対策センターです。湾岸エリア15カ所の水門などを管理するこの施設では、台風などの影響で潮位が上昇し、街なかに浸水する恐れがある場合、遠隔操作で水門を閉鎖します。緊急時に40分以内に水門を閉められるよう、毎月、様々な被害状況を想定した訓練を行っているほか、都の港湾局職員が周辺に住むなど体制を整えているということです。さらに、水門を閉鎖した後、水門内の水位が上がるのを抑えるため、内側の水を海に強制排水する設備も。

センター所長:「2メートルのパイプで水を吸って向こう(海側)に出している」

雨などにより水位が上昇した場合、排水ポンプをフル稼働させることで、25メートルプールの水量を数秒で排水することができます。

センター所長:「AIを活用した水位の予測や、更なる台風の強靭化に備えて防潮堤をかさ上げするなどの取り組みもあわせて行なっている」

また、都内では災害時に懸念されるエネルギー不足への対応も進んでいます。オフィスビルや店舗が連なる丸の内仲通り、その地下ではエネルギーの供給網がはりめぐらされています。

記者:「エリア一帯にエネルギーを供給するため、こちらには蒸気が、そしてこちらには冷水、通信線とさまざまな配管がこの地下に集約されているんです」

地下20メートルから30メートルのところに全長約250メートルの地下トンネルが作られ、現在、丸の内エリアで使われている冷暖房用の熱供給が行われています。今後、通信や電力も供給するべく整備が進められています。

いつ起こるか分からない大規模災害…東京都が見据えるのは「100年先の安全」のようです。

強靭化担当課長:「今のインフラで100年先も安心なのかということもあるので、今回見直して気候変動にも耐えられるインフラを、2040年代までに作り上げていくというプロジェクトで、我々としては仕上げていきたいと思っている」

 

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