就職活動中の学生を対象に、「企業名」を明かさない、一風変わった会社説明会が行なわれました。背景にはネームバリューにとらわれず、様々な企業と出合ってほしいという思いがあるようです。

記者：「多くの学生・企業が参加した就活イベント。企業名はどこにも書かれていなく、『エネルギーの未来をつくる』『世界NO.1企業を輩出』といった企業の目標が掲げられています。」

この会社説明会は、学生と長期的なインターンシップを行う企業をつなぐきっかけとして開催されました。従来、学生が企業を選ぶ大きな要素である「企業名」ですが、今回はネームバリューにとらわれない企業選びをしてもらおうと、企業名は伏せられています。参加した約70人の学生は、順番に全てのブースを回り、担当者の説明を聞いていきます。

竹下さん：「地域×ITみたいな分野で仕事ができたらいいなと思う」

鹿児島県からイベントに参加した大学3年生の竹下さんは、企業名がわからないことで「より中身を知りたい」と思えたと話します。

竹下さん：「先に企業名を聞くよりも、ビジョンとかやっている内容とかを先に話していただくことで、さらにこの会社のこと知りたいって思えるような感じがしますね」

そして学生たちが企業のブースを一周した後にようやく、企業名が明かされ、学生に今後の長期インターンの応募が呼び掛けられました。

参加学生：「なんとなく想像をして、ある意味先入観を持って話を聞いてしまうところがあったけど、今回はそれがなかったので、ビジョンであったり会社が大事にしているものが聞けたのが面白かったです」「いろいろな切り口から問題解決を行なっていることを知れたので、ITに興味を持つようになりました」

企業名を聞いた竹下さんは、改めて将来への思いを強くしたようです。

竹下さん：「元々ブラントとしては知っていたんですけど、こういうビジョンなんだというのが初めて知ってさらに興味が湧きました。インターンに行ければいいなと思っているところ」

企業名を隠した説明会は、参加企業にとってもメリットがあったようです。

参加企業：「興味のある業界で就活する方がやっぱり多いと思うけど、こんな会社があるんだな、を知ってもらえるのは私たちとしてもなかなか発信する機会が限られてくると思うので、それがきょう持てたというのはすごくありがたい」「非常に新鮮で会社名というよりはやりたいことで学生が集まる形なので、マッチ度が非常に高いというかそういった意味では非常にメリットが高い」

主催者は参加学生が、検討してこなかった職種や企業と出会ったことをきっかけに、就職活動の幅を広げてほしいエールを送っています。

再来年に卒業する予定の大学生の就職活動を巡っては、これまで禁止されていた「採用に直結するインターンシップ」がこの夏から正式に認められるようになります。このため今回の説明会の中で、学生たちはそのまま就職先になる可能性があるインターンの企業を選ぶということで、より真剣に担当者の話を聞いているようでした。