府中市の社会福祉法人「清陽会」で知的障害者への虐待が続いていた問題です。被害を受けた元利用者の父親がTOKYO MXの取材に応じ、虐待によって「息子の夢が完全に失われた」と、憤りをあらわにしました。

複数の関係者によりますと、府中市の社会福祉法人「清陽会」で市職員OBの男性元副理事長が、およそ10年間にわたって、知的障害の利用者らに虐待を繰り返していました。
MXが入手した第三者委員会の報告書では、元副理事長が「利用者を押し倒し、顔を押さえつけた」「言うことを聞かない利用者にビンタをする」など暴行を行っていたほか、障害者への軽視発言も記載されていました。
明らかになった府中市での虐待問題を受けて、東京都も動き始めました。
小池知事会見(6月30日):「障害者に対する虐待というのは尊厳を著しく傷つけるものであって、そもそもあってはならないと考えます」
7月7日には東京都の職員が施設に立ち入り、虐待内容や利用者の支援計画などに関して検査を行いました。
今回、この施設で虐待を受けていた元利用者の父親が、MXの取材に応じました。元利用者の男性は知的障害と自閉症があり、2017年から「清陽会」の施設に通っていました。しかし、通い始めてから頻繁に物を壊したり、他人を殴るようになったということです。
父親:「もうとにかく暴れるともうどうしようもなくて、夜中だろうが朝だろうが暴れまくって、どうしちゃったのかなと、なんかあるのかなと思ってすごく心配だった」
診察を受けると、激しい虐待によるPTSDだと判明しました。
父親:「知的障害・自閉症の人たちに虐待って絶対にあっちゃいけないですよね。自分がされていたことをフラッシュバックして、そこから逃れるために暴れてしまう」
元利用者の男性は、「いつかは一人で町を歩きたい」と目標を掲げていました。ただ、施設での虐待により「夢が完全に断たれた」と、父親は話します。
父親:「完全にそれが失われてしまったんですよ、それが彼の人生を奪った。本当にかわいそうですよね、彼が」
そして、虐待の中心人物だった元副理事長に、強い憤りを示しています。
父親:「虐待をしていることを認めていない。当然やっぱり謝罪もしない、『ごめん』の一言もない、これってありえますかね。本当に。ですから、副理事長については非を認めて、責任を取ってもらいたい」