明治神宮外苑の再開発巡る訴訟 原告住民ら都に認可取り消し求める

2023.06.30(金)

10:50

明治神宮外苑で計画されている再開発事業を巡り、周辺に住む人たちが東京都を相手取り起こした訴訟の第一回口頭弁論が開かれました。住民らは「事業の環境評価書が不十分だ」として、評価書に基づく都の認可取り消しを求めました。

明治神宮外苑で計画されている再開発事業を巡り、周辺に住む人たちが東京都を相手取り起こした訴訟の第一回口頭弁論が開かれました。住民らは「事業の環境評価書が不十分だ」として、評価書に基づく都の認可取り消しを求めました。

この裁判は、神宮外苑で計画されている再開発事業を巡り、認可した東京都に対し、周辺住民らが認可の取り消しを求めているものです。再開発の事業者である三井不動産などが策定した事業計画では、老朽化した神宮球場や秩父宮ラグビー場を解体して場所を入れ替え、商業施設の入る高層ビルを建設することなどが盛り込まれています。

6月29日の口頭弁論で原告側は、都側に事業者が提出していた環境影響評価書は、「伐採する樹木の数に低木が含まれず不十分な内容で、この評価書に基づく認可を取り消すべきだ」と主張しました。

原告 ロシェルさん:「市民の利益よりは事業者の利益だけを考えて、本当に事業者と一緒になって突き進めているという状況は本当にそれでいいのか。司法が判断する必要性を感じて、この訴訟を起こしました」

また原告側は会見で、インターネットでの反対署名が約29万人分集まっていると明らかにしました。一方、6月29日の口頭弁論で東京都は訴えを退けるよう主張し、取材に対し「法に基づき適切に対応してきた」とコメントしています。

神宮外苑の再開発は法廷で争われることになりました。まず、再開発の概要を振り返ります。神宮球場や秩父宮ラグビー場を解体して場所を入れ替える形で、新しい競技場を作ります。さらに、商業施設などが入る高さ約80メートルと約185メートルの高層ビル2棟が建ち、中央には新たに広場が設置される計画になっていて、事業者の三井不動産らは、今より利便性が上がり、緑化が進むと説明しています。

続いて工事の進捗状況は、すでに今年3月から明治神宮第2球場の解体が行われていて、6月27日からは、第2球場の鉄塔の解体が始まっています。そして今後、周辺の高さ3メートル以上の樹木を伐採する予定で、その後は、5年度までにラグビー場の建設、32年までにホテル併設の野球場の建設、13年後の2036年にすべて完了する計画です。これらの計画について事業者側は、この夏に住民説明会を開く方針を示しています。

では今後の裁判の争点についてですが、争点のひとつになるとみられるのが、事業者が東京都に提出した、環境影響評価書です。この評価書を巡っては、原告側が内容が不十分だとして、この評価書に基づく認可は違法だとして都に認可の取り消しを求めています。

そしてこの評価書を巡っては、文化遺産の保存に関する専門家らでつくる日本イコモスが「誤りや虚偽がある」と指摘していますが、事業者は「誤りや虚偽はない」と反論。都も「誤りや虚偽はないと確認した」と見解を示しましたが、こうした反論にも日本イコモスが反論するという平行線を辿っています。この評価書を裁判所がどう判断するのか、第2回の口頭弁論は、今年10月を予定しています。

 

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