もはや世代・年代は関係ない!? 同じ趣味趣向で繋がる“消齢化”の時代へ

2023.06.08(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“消齢化で変わる未来”について解説しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“消齢化で変わる未来”について解説しました。

◆今後は年齢・世代の差がなくなる!? 消齢化とは?

今回、「消齢化で変わる未来」について解説するのは、博報堂生活総合研究所 上席研究員でデータ分析の専門家・酒井崇匡さん。

“消齢化”とはあまり聞きなれない言葉ですが、これは「意識、好み、価値観など年代・年齢による違いがなくなる現象」を表す造語で、「高齢化ではなく消齢化、新しく視点を変えてみようという話」、「既存の年齢の差・年代の差が我々の調査のなかでもどんどん狭まってきている」と酒井さんは解説。

事実、博報堂で30年間に渡り生活者にアンケートをしてきたところ、以前あった世代・年代の差が最近は徐々になくなってきているそう。そして、この消齢化はあらゆる分野に関与し、まず生活においては「貯蓄するよりも今をエンジョイするタイプかどうか」というアンケートで、以前は20代・30代と50代・60代に大きな隔たりがあったところ、20代・30代は徐々に貯蓄派が増え、50代・60代は今をエンジョイする意識が上昇。結果として年代による差が狭まってきています。

その背景について「若者は不安定な時代になり、将来のために貯蓄しないといけないという意識が高まっている。逆に中高年は、以前は子どもや孫のための資産を残そうという意識があったが、今は自分で稼いだ分は自分で使おうという人が増えている」と酒井さん。

この結果に、Z世代の法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんは、20代・30代の貯蓄思考はわかるものの、数年前に金融庁が試算した老後に必要な資産の問題「老後2,000万円問題」が話題になったなか、なぜ50代・60代がお金を使う傾向にあるのかに関心を示します。

酒井さんは「このような結果は国の調査でも出てきている。30年間ぐらいのロングスパンで見たときに、今は子どもが未婚で孫がいないなど、家の概念が希薄になってきていることによって、自分で稼いだ分は自分の代で使い切っていいんじゃないかという意識が高まっている」と説明。

キャスターの堀潤は「僕らの上の世代はいわゆるバブル世代。底抜けに明るくて、なんとかなると思っていた世代。それが50代・60代」とこの傾向に理解を示します。

◆20代・30代のストレスは減少傾向、一方で60代は…

健康面においても「ストレスを感じるかどうか」という調査で20代・30代と50代・60代の傾向が肉薄。これは主に職場におけるストレスというのが大きいなか、前者は働き方改革やパワハラなどの規制が浸透しストレスが緩和される一方で、後者、特に60代は働く人も増え、ストレス過多に。酒井さん曰く、2025年には65歳までの雇用が義務化されることもあり、この傾向は今後さらに強まり、最終的には全年代が均一化するのではないかと推察します。

さらに、消費においては「ものを購入するときに品質・クオリティにこだわるか」という問いで、50代・60代は上昇しているのに対し、とりわけ20代は激減。逆転現象さえ起こっていますが、その背景には「“プチプラ”の影響が大きいと考えている」「ファストファッションや100円ショップの普及などもあり、安くてもいいものが手に入りやすくなったという環境もあると思う」と酒井さん。

“プチプラ”とはプチプライスの略で、少額で買える化粧品やファッションのこと。昨今大きく浸透しており、酒井さんは「長いデフレ期間のなか、値段が安くてもそこそこのクオリティが担保されるという前提で、一つひとつの品質にこだわるよりは、どんどん安いものを買い替えていく傾向が特に20代で強まっている」と分析します。

一連の結果に、株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは「意外」と率直な印象を語ります。というのも、普段仕事で親子に接する機会が多い小幡さんとしては、子どもたちはYouTubeやTikTokなど情報を摂取するのはデジタルコンテンツが多く、一方で親の世代はまだまだテレビや新聞など、情報の取得の仕方が違っているとし、「今が一番、世代ギャップがある時代だと思っていた」と言及。

また、堀は「インターネットがインフラとして平準化をもたらしたと思う。いまやAmazonにアクセスすればみんな同じものが買え、ネットをつければ高齢者でも若者でも同じようなインターネットコンテンツが入ってくる」と消齢化の要因にインターネットを挙げます。

◆消齢化によって、今後は“繋がり”が重要視される!?

では、消齢化によって社会はどう変化するのか。酒井さんは「これまでは40代向け、Z世代向けなど年代で輪切りにしながらマーケティングをしていたが、同じアニメ、同じゲームが好きなら年代は関係ないということで、同じ価値観、同じ好み、同じ趣味で繋がることが大事になってくる」と予測。さらには「人口減少・高齢化と言われるとネガティブになるが、年齢に関係なくヨコ串ではなくタテ串で繋がり方を見つけていこうと考えると、多少ポジティブになれると思う」と話します。

世代間の分断・対立ではなく、繋がりを意識した考え方には堀は同意。とはいえ全ての世代が同一化するのではなく、年代ごとの役割は今後も健在だと酒井さん。例えば、40代は20代・30代と50代・60代の間で繋ぎ役として機能し、20代は20代で新しいものをどんどん上にインストールしていく役割が今後もあると解説。

小幡さんは「価値観が繋がるというのは、僕も普段すごく実感している」と共感。「僕は20代だがゲームをしていていると10代の子どもたちと一緒に楽しめるし、親御さんの世代とも一緒に遊べる。そういう部分でも年代が関係なくなってきているというのはすごく感じる」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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