植物から電気を生む!? 町の電子基板設計メーカーが開発した驚きの技術“N-Energy”

2023.05.12(金)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、未来の再生可能エネルギー“N-Energy”をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、未来の再生可能エネルギー“N-Energy”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆植物が育つ力を使って電気ができる!?

再生可能エネルギーの分野では、昨今さまざまな研究・開発が進められているなか、埼玉県・狭山市にある電子基板設計メーカーが、身近なものから電気を生み出す発電方法を開発。それが環境への負荷を大きく抑えられるとして注目を集めています。

そこで今回、田中はその会社「株式会社ニソール」へ。

担当の田崎さんの案内のもと、見せてもらったのは、普通の植物が植えられた植木鉢。

植物にはライトが取り付けられており、鉢の後ろには電源コードらしきものが。

しかし、そのコードは電源には繋がれていないものの、ライトは点灯。これは植物が育つ環境を利用して発電する植物発電「N-Energy」です。

その仕組みは、成長する際に根から分泌される糖分を微生物が食べることで発生した電子が、電極を通して移動することで電流が発生し、発電できるというもの。

発電方法は、土に備長炭とマグネシウムでできた電極を差し込むだけ。しかも、備長炭は土に還り、肥料などに使われるマグネシウムも自然の生態系に害のない素材のため、たとえ電極が土中で劣化しても環境への負荷は少ないということです。ちなみに、今回紹介している植木鉢では単三電池2本分の電力が発電できるそうです。

さらに、この発電の特徴は“電気の供給力”。自然の循環作用を利用した発電のため「植物が生きている限り電力が発生し続けるので、ライトはずっとつき続けます」と田崎さん。

適度に水をあげる必要はありますが、育てば電気を確保できるので場所を選ばず、どこでも設置できるのが強みです。

現在は、この発電方法を活かして、観葉植物にライトを取り付け照明として利用していますが、今後は植物のあるさまざまな場所で利用したいと考えているそうです。田崎さんは「インフラ整備の整っていないような海外の国で活用もできますし、あとは植物工場などで、自分で発電しながら自分で育つということもできたりするかなと思います」と話していました。

◆いずれは太陽光発電の代わりにも!?

そもそも、なぜ電気基板設計メーカーが植物発電の開発を始めようと思ったのか。

田崎さんは「電気業界のなかでも本当の意味でのサステナブルな電気を開発できたらという思いが常にあった」と言い、「そうした思いを胸に秘めているなかで、一緒に仕事をしている方が休耕田(使っていない畑)を持っていて、それを何か活かせないかという話になったときに、畑から電気が取れたら面白いんじゃないか、やってみようと考えて生まれたのが植物発電だった」とN-Energy誕生の経緯を明かします。

その後、研究を重ね、2021年には都内のメーカーと製品「botanical light」を共同開発。インテリアや街中のイルミネーションとしての設置が進んでいます。

発電効率や装置の耐久性など、まだまだ課題はあるものの、田崎さんは「全国にある休耕田や田舎のほうで電気を作りながら、その電気を使ってその街を活性化できるような事業ができたら」、さらに「最終的には太陽光発電を超える電力になれたら」と展望を語っていました。

未来の再生可能エネルギーに、キャスターの堀潤は「“植物発電”(というワード)で検索すると、自宅でできるDIYキットが出てきたり、堆肥や淡水植物などコンポストを使って電力を生み出したりするのは、注目の分野みたいですね。いろいろあることにビックリしました」と驚きの声を上げます。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「安定的なエネルギー源をずっと探しているので、日本は森林も多いし、これが未来を切り拓く技術になれば」と期待を寄せます。

microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「テクノロジーは局所的に最適化させることができるから面白い」と感想を口にします。というのも「植物に明かりを灯そうと思ったときに、遠く離れた火力発電所で発電し、それを運んできて電気を灯すのか、植物自体を利用するのか、植物に明かりを灯すということにおいてはこれが一番効率的な方法なんじゃないか」とテクノロジーの可能性、奥深さに興味を示します。

なお、N-Energyは現在、植物発電による照明やイルミネーションとして使う実証実験を行っているほか、農地などでのセンサー機器に植物発電の電力を使用、植物工場で植物を育てながらそこで使う電気を発電することができるという可能性、さらに蓄電なども進めていけば災害対策用の電源としても活用できるのではないかと期待されているそうです。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、そうしたさまざまな使い方にも「面白そうですね」と感心しつつ「これらの活用もそうですし、もう少し大きな電力につながるような開発が進んでいけば」とさらなる発展を望みます。

また、地方では休耕地をソーラーパネルに変える事業が進んでいる所もありますが、景観の問題や近隣住民との問題などさまざまな課題があることに触れた上で、「もしもこの技術が使えて、休耕地も別の使い方ができるとしたら面白い」とN-Energyのさまざまな分野における活躍に期待を寄せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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