TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“変わるシニア世代の働き方”についてキャスターの田中陽南が取材しました。
◆なんでも頼めるもう一人の“おかあさん”の正体とは?
2021年の調査では、65歳以上の高齢者で働いている人は約909万人いるとされており、18年連続で増加。働くシニア世代が増えるなか、さまざまな経験を活かした働き方が登場しています。
そんななか、今回田中が話を伺ったのは、働きながら子育てをしている洋子さん。夫婦共働きということもあり、普段は“おかあさん”に手伝ってもらいながら家事と育児を両立しているそうですが、実はこの“おかあさん”は自分の母でも夫の母でもありません。
その“おかあさん”とは「東京かあさん」というサービスから派遣された本当のお母さんのような赤の他人。この「東京かあさん」は、熟練主婦の経験を活かした提案型サポートを行うサービスで、家事代行やベビーシッターという枠にとらわれず、なんでも頼める“もう1人のお母さん”を持つことができます。
洋子さんの母親は神奈川、夫の両親は京都と気軽に来てもらえる距離ではないため、洋子さんは近くに軽くお願いできる人が持てる「東京かあさん」にサービスを依頼。そうして「東京かあさん」に所属するスタッフの林さんは週2に回、洋子さんの子どもの幼稚園の送迎やお世話などを一緒に行っています。
同サービスを利用する洋子さんからは「(林さんは)すごく頼りがいがあり、2人のお嬢さんを育てているので、『自分のときはこうだったよ』とか教えてくれて、子どものことも孫のような感じで見てくれて、すごくありがたいです」と感謝の言葉が。
「東京かあさん」は、力仕事などの禁止事項以外は育児、料理、掃除、洗濯、家事のレクチャー、悩み相談など基本的にどんなお手伝いもしてくれる、本当のお母さんのようなサービス。田中が取材に伺った日には、林さんが過去に子どもとよく作っていたというピザをみんなで楽しそうに作る姿がありました。
林さんは「お迎えに行って(洋子さんの子どもが)手を振ってくれると“すごくうれしい”って思ったりします」、「血はつながっていないけど、手を振って駆け寄ってきてくれたときはすごくうれしい」と話し、この仕事にやりがいを感じている様子。
家事代行は特定のサービスに限られますが、「東京かあさん」は幅広いサポートが可能で、“おかあさん”との距離が近く、温かみを感じている人も多いそうです。洋子さんも林さんには全て安心してお任せしているそうで、「本当の母親にお願いしているようなイメージ」と実感を語っていました。
◆仕事を辞めて元気がなくなるシニア世代も…
「東京かあさん」を運営する株式会社ぴんぴんころり代表の小日向さんに、このサービスを始めた経緯を聞いてみると、きっかけは自身の祖母。
「私の祖母が80歳近くまで仕事をしていて、仕事を辞めてから元気がなくなってしまった。働くことがビタミン剤なんじゃないかと思い、(シニア世代の)就業支援をしようと思ったのがきっかけ」と振り返ります。
また、家事・育児を経験したシニア世代が他の家庭をサポートすることで、シニア世代の“やりがい”創出にも繋がると考えたそうで「なかなか家で家事や育児をしていても褒められたりするわけではなく、それがすごいことだとベテラン主婦の方々は気づいていない。『“お母さん”だったら今まで私もやってきたからできそう』と言っていただける」と小日向さん。そして、このサービスが地域ぐるみの子育て環境整備の一助になればとも。
現在、「東京かあさん」には約1,100人が登録しており、その平均年齢は67歳。約350世帯が利用しており、その9割近くが子育て世代。まだまだ働きたい、あるいはやりがいを求めているシニア世代は今後も増えてきており、核家族化も進行しているとあって、このサービスは大人の人手が欲しい子育て世代にとても人気だそうです。
なお、「東京かあさん」の時給は1,100~1,200円で特に資格は必要ありません。サービス内容は、レギュラーコースで月額2万4,200円から。月4回(計10時間)ほど来てもらえて、肉体労働などの禁止事項以外であれば、家事、育児、悩み相談などなんでも依頼可能となっています。
シニア世代が活躍するこのサービスに、キャスターの堀潤は「素晴らしい!」と拍手。そして、「今は年金を受け取る年齢も先延ばしになってきているので、シニアと呼ばれる世代になっても働ける場所をこうして作ってくれるのは、近い将来の自分と重ね合わせるとありがたいなと思ったりもする。ぜひ“東京とうさん”も作ってほしい」と興味を示します。
アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんも、「教育、家庭においても、親と子、先生と生徒という縦の関係だけでなく、学校だったらメンター、家庭であればこうした『東京かあさん』のように“斜めの関係”を担える人がいるというのは大事」と話します。
この“斜めの関係”というのは、縦の関係ではなかなか言えない悩みや不安なども打ち明けられる相手だと阿部さん。「核家族化の時代にはこうした斜めの関係が欠けていると思うことが多く、これはそういうところを補える素晴らしいサービス」と評します。
インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは「子育てを家庭だけ、父親・母親だけで行うのは難しいと思うなかで、こうしたことは友達との間でも不安として上がってくる話なので、今後さらに普及したら本当に良いと思う」とさらなる展開に期待を寄せます。
日本大学 文理学部 助教の大澤正彦さんも「その通り。子育ては父・母だけでは足りない」と頷きつつ「(「東京かあさん」のサービスのように)誰しもがこうやって誰にでも助けてもらえるというのはすごく大事」と話します。
また、阿部さんが挙げていた“斜めの関係”についても「僕は父親になったからこそ、父親だからできないこともあるなと思った」と実感を語ります。というのも、父親になる前に子どもの教育方針をしっかりと考えていたものの、実際に子どもと向き合ってみると思った通りにいかないことが多々あったと言い、「そうした苦しいときに助けてくれる人がひとりでもいると、(気持ち的に)ちょっと余裕ができる」と自身の経験をもとに話していました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag
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