校則は誰のためにある? ルールメイキングの重要性をZ&XY世代が議論

2023.03.22(水)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、“今後の校則のあるべき姿”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、“今後の校則のあるべき姿”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。

◆生徒? 先生? 校則は誰のためのものなのか

男女交際禁止とする堀越高校の校則を巡る裁判で、東京地裁は自主退学の勧告は違法とし賠償を命じましたが、校則自体は有効と判断。校則を巡っては12年ぶりに生徒指導提要が改訂され、文部科学省のWebサイトにて公表。いわゆるブラック校則の見直しを求めた他、校則を学校のWebサイトなどで公開することが適切としました。

Z世代の主張として、microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「ルールメイクについて、毎年生徒が議論できる場を」と訴えます。

「そもそも校則は誰にとってのルールなのか」と問いかけ、「学校運営側、生徒、ましてや保護者だけのものでなく、全ての当事者に関わるもので、それを学校が一律で決めて良いのか」と疑問を呈します。そして、「“ルールは変化するもの”という前提のもと、ルールを生徒みんなで議論することによって納得感を得られれば、生徒側もルールを遵守するのでは」と提言。

XY世代のフリーアナウンサー・荘口彰久さんは、「理不尽な校則を先生が恣意的に運用し、破ると殴られた」と自身の学生時代を振り返り、「レポーターとして校則を撤廃したある学校に取材に行った際、荒れていた学校が良くなったと聞いた」と校則撤廃によるポジティブな実例を紹介。「その学校は校長先生が動いていたが、渋谷さんの言う通り生徒がやるとどうなるんだろうかというワクワク感がある」と話します。

自身には2人の子どもがおり、中学2年生の長女に制服を撤廃したいか聞いた際に「毎日洋服を選ぶのは面倒だから嫌。ルールは変えなくていい」と言われたことに触れ、「ルールを変えなくていいという生徒も一定数いることも忘れてはいけない」と荘口さん。

Z世代のHealth for all.jp代表・茶山美鈴さんは、自身が通っていた私学女子校にいわゆるブラック校則があったものの、それが廃止される過程を体験。当時、その校則に関して先生に何故あるのか聞いても「そういうルールだから」との回答ばかりで「そもそも、何故そのルールが存在しているのか先生側もわかっていなかった」と当時を回顧。

その後、校長先生が変わり、生徒が校則について議論するようになり、ブラック校則も廃止に。そうして学校が変わる様を見てきた茶山さんは「生徒に主体性が生まれたり、勉強以外のところでも活動したりして自分の人生を広げる、選択肢を広げるようなことになった。ルールメイクについて議論する場はとても大事」と語ります。

必要性のないルールは見直すべきという意見が多いものの、それができていないのが現実。そんな現状についてXY世代のキャスター・堀潤は「自分で考えない大人を産む教育を恣意的に運用してきたから」とその原因を分析。

「大きなルールを作り、そのルールに従い行動はできる。みんなが平準的に動けるその大量生産型のスタイルは産業界にとってはありがたかった」と言い、その結果として生まれたのが「おまかせ民主主義」と堀。「そこを変えていかないと社会は変わらないし、社会が変わらないと巡り巡ってルールを変えようという動きにもならない」と指摘します。

荘口さんも、「『話し合いなさい』と言いながら教師の想像を超えたものがあると止めてしまう。『自由にやって良い』と言うものの無限の自由はないという暗黙の了解がある、当時も今も」と話します。

◆校則を変えようと現役高校生が奮闘!「全国校則一覧」を制作

そうしたなか、校則を変えようと活動している高校生もいます。それは群馬県の公立高校2年生・神谷航平さん。彼は自治体に情報公開請求を行い1,416校の校則を集め、Webサイト上でデータベース化した「全国校則一覧」を公開。2023年までに全都道府県立高校、約3,300校の掲載を目指しています。

この活動のきっかけとなったのが、中学校時代の校則。登下校の際、白い靴以外不可で、その校則を変えたいと先生を説得するべく情報収集を始めたそうで、堀は「すごい! 素晴らしい! これこそEBPM(エビデンスに基づく政策立案)じゃないですか!」と評します。

神谷さんに今の校則について聞いてみると「20、30年前からほとんど変わっていないところがザラにある」と言い、もしも校則に疑問を持ったら「全国校則一覧」を活用してほしいと熱望。「自分たちで行動しないことが今の若者たちの課題でもあると思う。なぜこの校則ができたのか、その根本的な理由がわからないことが今の校則の問題のひとつ。先生も説明できないし、生徒も納得できないような校則は本当に必要なのか」と訴えます。

神谷さんの「全国校則一覧」を知り、茶山さんは「こうしたものを使って全国の学生が声を上げ、成功体験を得ることが一番良い」と話します。自分たちで課題意識を持ち、意見し、変えていく、その一連の成功体験が大きな経験となり、ひいてはそれが政治に対する関心などにも繋がっていくとし、「日本の民主主義の根幹であるルールに対して疑問を持ったり、投票という政治に対する意志を表明する行為の一番の根本になる」と期待を寄せます。

そして、現状を打破するためには「国の方針としての教育の根本から変えることが必要」としつつも、まずは生徒自身の奮起に期待。「まずは生徒自身が校則に対して疑問を持つ、俯瞰的に見るところから始めないといけない」と茶山さん。

番組Twitterには「校則をギリギリ違反するのも楽しい思い出」という意見も寄せられ、これに堀は「ルールがあるからちょっと逸脱したところでドキドキするのも醍醐味だったかも」と共感しつつ、一方で「型破りは生き辛い」と嘆きます。型破りがなくなれば「イノベーターが叩かれたりし、新しいものが生まれない」と危惧し、「ルールは確かに守らないといけないが、それを破る力も大切だと確認したい」と述べます。

◆生徒と先生が一緒にルールメイクして生まれた成功体験

大阪・泉大津市立小津中学校では、2021年夏から生徒たちが校則を見直すルールメイキングを実施。生徒と先生が話し合い、その結果、まずは制服の見直しが行われた他、授業で使うiPadの使用制限がなくなったそうです。

そうした経験を経て、生徒は「自分たちが動くことで、世の中のいろいろなことは変えていけるということがみんなわかった。そういうところがよかったと思う」と話していました。

小津中学校の様子を見て、荘口さんは以前取材した学校の校長先生が語っていた「自分たちの力で変えるのではなく、校則の運営に生徒が主体にならなければいけない」という言葉を紹介。その上で「やはり先生たちの協力も必要。『自分たちで勝手にやりなさい』と任せて無責任になってしまうのも良くないと改めて思った」と語ります。

最後に今回の議論を受けて今後の校則はどうあるべきか、Z世代を代表し渋谷さんが提言を発表。それは「当事者全員の納得感のある主体的なルールづくりを」

ルールは、生徒や先生、保護者、地域の住民など関わる全ての人のためであり「それぞれ平和的かつ納得感のある生活を送るためのものがルール」と渋谷さん。そして、ルールを作るにあたっては学校側が勝手に設計するのはもっての他で、議論の場が用意されるべきと主張。

また、主体的にルールが変えられるという経験こそが「教育の根幹」と渋谷さんは力説。「社会で生きていくために、自分が生活する場を自分で作れるということを認識する。まさにこれもひとつの教育なんじゃないか」と訴えます。

茶山さんも渋谷さんの意見に頷きつつ、小津中学校の生徒のように「世の中の仕組みは実際に変えていける」と思ったことを高く評価し「教育という場面だけでなく、長い人生を通し、日本をより良くするためにも生徒たちが教育機関でルールづくりを学ぶのは大事な体験」とその必要性を語ります。

堀は「民主主義の対義語は沈黙」と言い、「タブーをきちんと語ることができる、好奇心のある社会であってほしい」と切望。校則こそ沈黙する癖をつけてしまうと懸念。最後に荘口さんは「自分たちでより良い、楽しく過ごしやすい学校生活が作れるとわかることが後々の人生にとってとても有用なこと」と語り、「ようやく良い時代になってきたと思う」と期待を寄せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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