TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、“働きやすい職場に必要なこと”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。
◆身だしなみルール緩和で人手不足解消&従業員のやる気アップ!?
企業の人手不足が問題となるなか、接客業で拡大しているのが「身だしなみルールの緩和」です。
ドン・キホーテでは、従業員からの要望を受け2022年3月からルールを緩和。これにより従業員のモチベーションが上がり、さらに一部の店舗では「自由な髪色で働けるから」とアルバイトスタッフが友達を誘い、アルバイトが増えるケースも。身だしなみルールの緩和が、従業員のやる気と企業のイメージアップ、そして人手不足の解消にも一役買っています。
まずはZ世代の主張として、アフリカの紛争問題を研究する東大院生の阿部将貴さんが「ルール作りに現場の若手も参画を」と訴えます。
企業であれば、ルールを決めるのは主に総務や事務職の人などですが、実際に遵守するのは現場の最前線。そのギャップが問題で、現場の声を聞くことで「企業としても、より良いものに変わっていくのではないか」と考えを示します。
ルールを作る側でもあるXY世代の株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは、「“緩和”とは、元々あったものを緩めるという意味だと思うが、ルールの見直すという観点でいうと緩めるのではなく、会社の未来や世の中を支えていくメンバー、あとは若手だけでなく現場の意見を取り入れ、ルールを一緒に改めて作り直すほうが、より前向きで大切な視点」と述べます。
平和教育を研究する東京大学3年生の庭田杏珠さんは「それぞれ職場ごとにルールは決まっていると思うし、なかなか難しいところだが、現場の声とともにルールを一緒に作っていく観点は大事だと思う」と頷きます。
XY世代のキャスターの堀潤は、「僕はルールを破りたい派」と前置きし、「ルールを外から見て意見する存在も大事。ルールを更新できる柔軟さが求められていると思う」と主張します。
企業と働く人の関係性について、阿部さんは「一定の緊張関係は必要」と言い、「(ルールについても)常に『なんで?』と問い続けていかなくてはいけない。そうすることで合理的かつ親しみやすいルールになっていくと思う」と話します。
神保さんはここまでの議論を通し「この問題は企業側の視点を入れると“経営戦略”の問題なのかな」と指摘。というのも、身だしなみの問題となると、昨今多様性に話が行きがちですが、先のドン・キホーテの件も含め、結果として採用力やイメージアップなど、会社経営に影響を与えるから。しかし、なんでも緩和してしまうとリスクが生まれる可能性もあるため「時代が変わるなか、メリット・デメリットをどう比較し、最終的にはルールを緩和してでも採用力を高めるのか、そのギリギリのラインを見極めて、判断していく。そうした経営戦略が問われているのではないか」と述べます。
すると堀からは、いかにそのバランスをとっていくべきかという質問が。これに神保さんは「自社のブランド、最も大切にしていることを冒してまでルールを緩和することは本末転倒」と返答。また、その説明責任もしっかりと果たすべきで、その上で緩和ができるものは現場の意見を聞きながら丁寧に判断していくことが必要とも。
庭田さんは「企業が大切にしていることを理解した上で、自分の意見もしっかりと持つことが大事。従うだけでは一緒に会社を良くしていこうとはならないのではないか」と話します。
◆銀髪でモチベアップ! オレンジ髪でもクレームは一切なし!
では、身だしなみルールの緩和について従業員はどう思っているのか。緩和後に髪色を明るくしたドン・キホーテ食品担当のスタッフに話を聞いてみると、「(ルールの緩和により)ちょっと働きやすくなったかなと思う。今までやってみたかった髪色とか髪型に挑戦できる、自分を表現できることに対しての嬉しさがある」とポジティブな意見が。
さらに、「店舗全体的にも雰囲気が明るくなった気がする」と職場にも変化があったそう。また、総合スーパー「アピタ」の子ども服担当として働く方もルールの緩和とともに髪色をオレンジにしましたが、お客さんからのネガティブな反応は全くなかったと言います。
こうした声に、堀は「職種によると思う。多くの人が集まる消費の現場は多様性を受容しやすいと思うが、僕らの仕事は(髪色などに関しては)なかなか気を遣うところ。常にTPOが頭の中にある」と実感を語ります。
会社員時代の堀は、外見的なものでしか判断されない、固定観念に縛られたような社会や風潮、慣習的なものに反抗していたそう。で、メディアの人間こそ型を破っていくべきという思いがあったものの、今は「それはすごく青臭い反抗だったと思う」と変化が。
髪型や髪色など自由に決めさせてもらっているというキャスターの田中陽南は、「(その髪型がメディアという立場に)ふさわしいかどうか、誰が決めるのかっていうのはありますよね」と疑問を投げかけます。
◆“ゆるい”はネガティブではない、今の企業に必要なこととは?
ルールを緩和することが、働きやすさに繋がるのか。リクルートワークス研究所の調査によると、「職場をゆるいと感じる」新入社員は、36.4%。そして、「いつまで働き続けたいか?」という質問に対し、「5年以内」が60.1%。「定年まで」は20.8%で、ルールの緩和と働き続けたいかどうかは比例していないことがわかります。
この調査の対象者のなかには、「今の職場は好きだが、このままで大丈夫なのか焦りがある」、「学生時代に近くて肩透かし」といった声がありました。
このデータに堀は驚きつつ、「“ゆるい=良くない”というものが根底に植え付けられてしまっているのかな」と案じ、「ゆるいからこそいろいろなものが生まれる余白があり、余白があるからそこに色がついていく。ゆるいというのはネガティブなのか」と疑問を呈します。
神保さんは「ネガティブではないと思う」と言い、ルール作りの方法以上に「そもそも意見を言うフレキシビリティがあるか」と企業側の姿勢に言及。「結果的に企業側も対話に応じてルールを制定していることがわかれば、従業員は納得すると思う。逆に、納得できないのであればそもそも企業の価値観と従業員の価値観が合っていないので、そうした方は別の企業、自分の価値観が合うところを探せばいい」と神保さん。さらには「それこそ双方の説明責任の果たし方がゆるいと、上手くいかないと思う」とも。
最後にZ議会を代表し、阿部さんが「最低限のルールとあとは自己責任」と提言を発表。
髪色を変えても、そのしわ寄せを食うのは自分だと認識した上でやるのは良しとしつつ「ただし最低限のルールは守る。それもいろいろな立場の人が混ざって、議論して作り上げる、そこに正当性がある」と阿部さん。
神保さんは、かつて企業と従業員では、給与を払っている企業のほうが立場が上という風潮があったものの、今は人手不足という深刻な問題などもあってそうした風潮も変化してきているとし、「業界によってそれぞれ戦略を変えていかないと。企業の活動自体も永続的に続けられなくなる時代になってきているので、やはりそこは対等な立場で、ルールの緩和ではなく、しっかりと会話をするべき」と主張。
そして、最後に堀は、そのためにも「自分の型を作らないといけないと思う。その型と型のぶつかり合いが、いいルールを作るのかなと思う」と述べていました。
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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
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