都営交通が上野に初の授乳室を開設 設置場所は“観光案内所の中”…狙いは?

2023.03.10(金)

10:05

 東京都が大江戸線・上野御徒町駅に都営地下鉄で初めてとなる授乳室を設けました。設置場所は観光案内などを行う施設の中だということです。設置場所をここに決めた狙いを含め、取材しました。

 東京都が大江戸線・上野御徒町駅に都営地下鉄で初めてとなる授乳室を設けました。設置場所は観光案内などを行う施設の中だということです。設置場所をここに決めた狙いを含め、取材しました。

 観光客への案内や定期券の購入ができるツーリストセンターの受付の横に授乳室は設置されました。改札の外にあるため、都営地下鉄の乗客だけでなく、希望する人は誰でも使用することができます。駅を利用する子連れの女性からは新設の授乳室について「授乳はどこでもできるわけではないので、とてもありがたい」「駅にあるのは便利。今までは、駅を出たらスーパーなどで授乳室を探していた」など、歓迎する声も聞かれました。

 都の担当者は今回の場所選びについて、狙いがあったと話します。東京都交通局・電車部の小林靖茂・鉄軌道事業企画専門課長は「ツーリストインフォメーションセンターはお客さまを案内する場所。係員が常駐しているので、必ず目の届くところにある。また、内側から鍵が2カ所掛けられるようになっていて、セキュリティーの確保にも配慮している」と話します。また「改札の外にあるので、駅周辺に出かける人にも使ってほしい」としています。

<ぎょっとする体験も… 授乳室の“安全性の確保”は最重要>

 今回、設置された都営交通初の授乳室はツーリストインフォメーションセンターの中にあり、係員が常駐していて、さらに内側には鍵が2カ所設置されています。実は、授乳室の“安全性の確保”は重要、かつ深刻な問題です。SNS上には「おむつ台のある授乳室に入ったらおじさんが身なりを整えていて、恐怖を感じた」「百貨店の授乳室におじさんが単独で入ってきてソファに座り、電子たばこを吸い出した」「「授乳室に来る変質者、怖い。この前、無人の授乳室をのぞき込んでいるおじさんを見かけた」など、利用者にとっては大変怖い、驚きの投稿があふれているのです。実際に今回、鉄道利用者など街の声にも「知らない男性が間違えて入ってきた」といった声が幾つも聞かれ、取材した記者は大変驚いたといいます。授乳室という特性上、防犯カメラの設置は難しく、一部には防犯ブザーを設置するなどの対応はしているものの、授乳室の安全性の確保には悩みが尽きず、授乳中という無防備な状態の母子を卑劣な行動から守る、防犯の強化が課題です。

 他にも、利用者からは「離乳食が始まった時に、授乳室内に電子レンジがあると温められて便利」といったさらなる利便性を求める声もありました。その一方で、現実的な案を試行錯誤している東京都交通局の担当者は「より快適な授乳室のために、今回も水道設備の設置も検討したが、作るには時間も費用もかかる」と話し、今回はスピード感をより重視した結果だとして理解を求めています。寄せられる希望はさまざまですが、まずは何よりも安全性が確保された授乳室であるべきです。

 

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