東京都が健康な女性の「卵子凍結」に補助検討 ニーズ多い一方で慎重論も

2022.12.14(水)

11:35

 東京都の小池知事は12月7日「健康な女性の将来の選択肢として、卵子凍結への関心が高まっている。子どもを望む人への支援充実の観点から対応を検討する」と述べ、卵子を凍結保存する際の費用補助を健康な女性にも拡充する考えを示しました。詳しくまとめました。

 東京都の小池知事は12月7日「健康な女性の将来の選択肢として、卵子凍結への関心が高まっている。子どもを望む人への支援充実の観点から対応を検討する」と述べ、卵子を凍結保存する際の費用補助を健康な女性にも拡充する考えを示しました。詳しくまとめました。

 現状、卵子凍結を行う理由は大きく2つに分かれています。1つ目は「医学的適応」と呼ばれる、がん患者などが放射線治療や抗がん剤が影響を与える前に卵子を保存して、治療を終えた後の妊娠に備えるものです。これについては東京都は既に1回最大30万円、1人2回までの助成を行っています。そしてもう1つの理由が「社会的適応」と呼ばれる、仕事などさまざまな理由で現在は出産ができないものの、将来の出産に備えて健康な卵子を保存するものです。

 今回、小池知事はこの「社会的適応」に対して支援を検討し、2023年度の東京都予算にも盛り込む考えを示しています。女性の活躍が増える中、このような希望を持つ人が増えているようです。

 これはデータにも表れています。日本受精着床学会が発表した2021年の東京都内における実施件数の調査結果によりますと「医学的適応」のための卵子凍結よりも「社会的適応」の方が8倍近い実施件数となっています。東京都の「社会的適応」の件数は他県と比べて圧倒的に多いという結果が出ていて、都内でいかに将来的な出産に備えたいというニーズがあるかを示しています。そして、卵子凍結を行った全ての施設で妊娠した事例があったということです。

 一方で、卵子凍結に関しては慎重な意見もあります。日本産科婦人科学会は卵子を採取する時に使う排卵誘発剤などの体への負担や、妊娠を遅らせたことによる高齢出産に伴う合併症、そして凍結卵子の妊娠率の低さなどを理由に「禁止は求めないものの、年齢を問わず推奨しない」という見解を示しています。小池知事はこうした意見も踏まえた上で「卵子凍結は少子化、女性活躍の一つの選択肢であり、どのような形で進めていけるか課題を整理したい」と話しています。

 なぜいま産めないのか、また女性にばかり負担の大きい不妊治療への社会配慮など、問題点の解決も進めていくことが求められます。TOKYO MX「news TOKYO FLAG」のスタジオでは有明みんなクリニック理事長・小暮裕之さんの意見を聞きました。動画でご覧ください。

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