映像通報システム「Live119」をご存じでしょうか。これは119番通報した人と消防の指令室が映像でつながるシステムです。このLive119が東京都内で、70代女性の命を救いました。
東京消防庁世田谷消防署で11月9日、消防総監から感謝状が贈られたのは井伊千鶴さんです。井伊さんは10月16日、70代の女性が世田谷区内のバス停で倒れて意識不明となった際、心臓マッサージなどの応急処置を施し、救急隊の到着まで命をつなぎました。女性はその後、救急車の中で一命を取り留め、現在は社会復帰できるまで回復したということです。井伊さんは「とにかく助けなきゃ、人を呼ばなきゃ、救急車を呼ばなきゃという気持ちだった」と当時を振り返りました。
この救助で活躍したのが、通報した人と指令室を映像でつなげる「Live119」です。以前の口頭での説明だけでは、指令室に現場の状況が明確に伝わらなかったり指示を出すのが難しく、通報した人の不安にもつながったりしていました。より正確な情報を円滑に伝えるため、東京消防庁管内で2020年から導入されたのがLive119で、世田谷区の救助現場でもこのシステムのおかげで安心感があったといいます。井伊さんは「非常にありがたかった。本当に周りに誰も人がいない状況だったので、すごく安心感があった」と語りました。
Live119はほぼ全てのスマートフォンで利用することができ、アプリのダウンロードなどは必要ありません。119番に通報すると消防から通報者の電話番号宛てにショートメールが送られます。専用サイトにつながるアドレスを選択し、画面に表示される指示に従うだけで利用できます。
東京消防庁の藤野祐三消防司令補は「Live119を有効に活用してもらい、応急手当てを実施して救命率が向上していくのを期待している。いざという時に使えるよう、どういうものか確認していただきたい」と話しています。
<映像でつながる「Live119」 応急処置方法の伝達や火災現場でも活躍>
「Live119」の導入で、音声だけでなく映像も加わることにより、伝わる情報が増えて安心感が増しました。そしてLive119には映像で現場の状況を伝えるだけでなく、実際に応急処置に当たる人のための機能もあるのです。
Live119には現場の映像を送るだけでなく、消防から通報した人に向けて応急処置の方法を説明する動画を送ることもできます。例えば、心臓マッサージの方法を説明する動画では胸部圧迫のペースを示す音が鳴らされるため、これに合わせれば訓練などを受けたことがない人でも適切なリズムで心臓マッサージを行うことができます。さらに救急の現場だけでなく、火災現場でも活用されています。例えば火災の規模や現場までの道路の道幅など、口頭よりも詳細に現場の状況を伝えることができるため、指令室で消防車の出動台数をより的確に判断でき、迅速な消火活動に当たることができます。
一人でも多くの命が救えるよう、こうしたシステムが広がることが期待されます。
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