廃線から守れ! ローカル線の取り組みをいすみ鉄道社長が語る

2022.05.03(火)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、廃線の危機にさらされる“ローカル線の現状”をキャスターの田中陽南が取材しました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、廃線の危機にさらされる“ローカル線の現状”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆少子高齢化に過疎化、そしてコロナでローカル線が危機に

今、鉄道業界で深刻化しつつある「ローカル線の廃線増加」。少子高齢化や過疎化の影響に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が拍車をかけ利用者が減少。令和に入って以降、全国で5本が廃線となり、特に北海道では3月に函館線・小樽~長万部間の廃線が決まるなど、近年相次いでいます。

今後ローカル線はどうなっていくのか。その未来について、千葉県の房総半島を走る第三セクター方式のローカル線「いすみ鉄道」の代表取締役・古竹さんに話を伺うべく、田中は千葉県の大多喜駅へと向かいました。

まずは、ローカル線の現状を聞いてみると、「(コロナの影響で)本当に人がいない状態。毎日お客さんがゼロのような感じだった」と嘆く古竹さん。現在は若干お客さんが戻りつつあるものの、コロナ前の売上に比べ、いすみ鉄道の収益は今なお4割減だと現状を語ります。

ローカル鉄道は地域の足という大事な役割がありますが、「第三セクターからすると、税金をもらってやっているから地域の人たちのお荷物になる可能性がある」と古竹社長は危惧。そして、そう思われないよう現状を打開すべく、根本的な考え方の変化が必要だと話します。

◆いすみ鉄道が行う、延命のためのさまざまな取り組みとは?

実際、いすみ鉄道ではかつて廃線の危機に直面したこともあり、経営維持のためにあらゆる取り組みを実施。例えば、駅名や鉄道の「命名権」の使用権利の販売、企業の名前などを駅の看板に表記。

さらには線路の枕木のオーナー募集や売上の一部が寄付されるラッピング自販機の設置を募るなど、ユニークな取り組みを敢行しています。

その他にも、地元の方々と連携した取り組みも。それは地域住民に本を寄付してもらい、その本を販売。一方で寄付してくれた人にはポイントを付与し、ポイントが貯まると、いすみ鉄道に関連したギフトがもらえる「い鉄ブックス」という取り組みで、これまで2万冊を超える本を集めたとか。

いすみ鉄道といえば、線路沿いに咲き誇る「菜の花」が有名ですが、そこにも地域との繋がりが。古竹社長によると、国鉄からいすみ鉄道へと変わった頃も廃線の危機に陥ったそうですが、そのときにある運転士が「この地域に何か残さないといけない」と思い、線路沿いに千葉県の花である「菜の花」の種を仕事の合間に播種。そこに地域の方々も手伝うようになり、今の美しい光景が生まれたそうです。

最後に古竹社長は「全国の鉄道会社は、本当に大変だと思う」と現状を案じつつ、「鉄道がなくなるというのは、日本の元気がなくなることだと思う」と主張。そして、「そうならないよう、(いすみ鉄道も)小さな鉄道会社だが、踏ん張ってやっているということを見せられるように努力したい」と力強く語っていました。

◆戦下のウクライナでも活躍、有事にこそ必要な鉄道インフラ

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、大学生時代にカメラクラブでいすみ鉄道を訪れたことがあり、「とても有名な撮影スポットで本当に綺麗。あの光景が手で撒いていたんだと思うと驚きました」と菜の花のエピソードに関心を寄せます。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、「高齢者社会の上に、コロナも含め、元通りに戻るのは難しい。もう以前のようには戻らないことを前提で、その場所に行かなくてもできることはあると思うので、いろいろな応援方法を確立していくべき」と言います。

なお、全国の地域鉄道の利用者は、1991年のピーク時には延べ5億人を輸送していましたが、2020年~2021年にかけてはコロナの影響などもあり大幅に減少しています。

キャスターの堀潤は、番組Twitterに寄せられた「鉄道は重要なインフラ」との声に触れ、戦火にあるウクライナでも「首都キーウからポーランドなどに退避できるのは鉄道が走っているから」と強調。日本でも「各地域、災害時に訪ねてみると、足がない、誰も(電車を)運転してくれないから避難できないという地域もあり、いざとなったときに鉄道などで移動ができるのはすごく大きなこと」とその重要性を示唆します。

政治プラットフォーム「PoliPoli」代表の伊藤和真さんは、大変な状況下にあるローカル鉄道には「頑張ってほしい」とエールを送る一方で、今は少子高齢化でローカル鉄道のような地域コミュニティがインフラとして機能しにくくなっていることを指摘し、「シビアに考えるべきなのかなとも思う」とも。とはいえ、必要なものではあるだけに「いろいろな取り組み、新しい付加価値として何か提供するのはいいと思う」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

 

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